日本語空間

2022年4月17日

「ガラスの天井」を突き破るには

昨晩、授業をおこなっていて、すでに1年以上学んでいる

学習者の方(社会人)の会話が、確実に上達したのを感じた。

たとえば「悩ましい」などという語彙が、自然に口に上る

ようになっている。

私が、常日頃いうところの「こなれた日本語」に近づいた

ことが非常に喜ばしい。

だが、ご本人は、自身の日本語のレベルが足りないせいで、

直属の上司との間に「壁」があると感じているようだ。
 
こちらから何とかコミュニケーションを取ろうとしても、
 
受け入れてもらえない。

あからさまな拒絶でないものの、うっすらとバリアを張られて

いると感じる。

彼は、それを「ガラスの天井」と表現していた。

そのことばを聞いてハッとしたのは、この語が、どちらかと

いうと女性により使われてきたため、外国人男性の口から

発せられた時、自分の中にも思い込みがなかったか? と
 
反省させられたことによる。


 
そう、当然、「マイノリティ」に対する問題と認識せねば
 
ならない。

職場の上役の中には、その上司とまったく対照的に、シニア
 
であるにもかかわらず、和ませてくれる方もいるそうで、

「あなたを日本語の冗談で笑わせるのが目標」などと言われたり
 
するらしい。

まさに上司も十人十色…

だが、よそよそしい相手であればあるほど、いきなりカジュアル

に接するわけにはいかず、きちんとしたことば遣いを使えること

を示さねばならない。

その学習者の方は、フレンドリーで前向きな性格だが、謙虚さ

も兼ね備えているので、日本人からは、評価が高いと考えられる。

それゆえ、距離を縮められない原因を「自分の日本語のせいだ

と思う」と分析していた。

にもかかわらず、その上司が、壁を作るのは、個人的に評価基準

が厳しいのか、やはり外国人に対してあまり優しくないのか。

入社の時点で、日本語必須とは言われておらず、前職までは、

英語で不自由なく仕事をこなしてきたが、一念発起して日本語の

勉強に精進し、成果も出てきている。

そのような外国人社員に対し、直属の上司は無論のこと、社内

全体で、日本人社員の方から歩み寄り、開かれた職場にして

いけないものだろうか。

何より、会社にとっていちばん大切なのは、上司の好みや気分で

なく、協働の環境を創出することなのだから。

    380