日本語空間

2020年12月2日

「水」でつながる

野良猫がやってきたりしなければ、居心地のよい場所

から、わざわざ引越しなどしなかった。

新しい事務所は、ペット可の物件が少ないことと経済

的な理由から、少々古く日当たりもよくない。

けれども、小さな庭がついているので、野外が恋しい

子猫を遊ばせてあげられる。

ここでは、朝から夕まで汽笛の音が聞こえる。

それで、室内にいながら、海の姿を思い描く。

日々の雑務に追われ、時間を過ごすことには、嫌気

(いやけ)もさす。

そんなときには、心を空(から)にして、水でつな

がった彼(か)の地に想いを馳せる。

自由とは何か?

の問いに答えきれないまま…

だが「水は絶え間なく流れ、激流にもなる」。

今は、束の間の試練の時と信じて!

光は

復(また)

香る

港に――

射すだろう、きっと。

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