日本語空間

2020年11月24日

セレンディピティ

最終更新: 2020年11月25日

野良猫を保護したため、事務所は、ペット可の物件に

引越しすることとなりました。

飼育ではなく、あくまでも保護で、良い里親が見つか

れば譲渡するつもりですが、小さな生き物と接するの

はなんて難しいのかと、つくづく思わされます。

初めてのワクチンや、蚤取りのための隔離、シャンプー

といった初体験を済ませたその猫・メメを、3日後

動物病院へ引き取りに行ったときは、ストレスでおびえ

きっていました。

元野良なのに、異様に甘えん坊で、勝手に膝に乗って

きて、寝てしまう。

かまってあげないと、ふてくされて部屋を荒らすと

いう強者(つわもの)の子猫です。

もし、コロナウイルスが流行しなかったら、それ以前に、

旧事務所の裏庭で、猫が生まれなかったら、と「偶然性」

に想いを馳せます。

物をできるだけ持たず、風通しのよい生活を送りながら、

あちこちに目配りをし、叡知をどこまでも究める、

というような生活は、ひとつの憧れでした。

「徴候的知」を招来するためにも。

なのに、膝の上を猫が占領して、身動きが取れない。(涙)

そういえば、図書館にも2週間ほどごぶさたしていて。

学際的な研究では、主軸を縦に据えながらも、いかに

フィールドを横に横断できるかが重要になります。

前回、図書館で、別な本を探していて偶然見つけた2冊

の本は、横糸の参照軸になりそうです。

河合香吏 編著『極限――人間社会の進化――』

京都大学学術出版会(2020)

全鎭晟著 佐藤静香訳『虚像のアテネ――ベルリン、東京、

ソウルの記憶と空間――』法政大学出版局(2019)

メメよ、喉をゴロゴロ鳴らして気持ちよさそうだな!

しかし、私は、もっとずっと遠く、遥かな世界にも

目をやらねばならないよ。

人間存在の務めとして――

   ヴィルヘルム・ハマスホイ

「室内 ― 開いた扉、ストランゲーゼ30番地」(1905)

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