日本語空間3 日前2 分分別力と創造力気がつけば9月も今日で終わり。 2、3日前まで聞こえていた蝉の声もパタリと止んだ。 ノーベル賞発表の時期が迫るこの季節、日本人では4人目 のノーベル賞受賞者である尾崎玲於奈(おざきれおな) 氏のインタビューを興味深く読んだ。...
日本語空間8月18日1 分「刺さる」ことば猛暑の候という挨拶は、8月上旬までとされるが、 温暖化の昨今、季節感にも異変が生じているようだ。 8月も下旬にさしかかるというのに、炎暑の候とでも いいたいような日々が続く。 しかし、台風によるぐずついた数日が過ぎ、カラッと 晴れ渡った夏空を眺めていると、渾身の力を振り絞る...
日本語空間8月12日2 分ゲニウス・ロキ「私はまたゲニウス・ロキを呼び覚まそうとしている のかと思いました」。 忘れもしない、博士論文の口頭試問の際に副査から かけられたことばである。 もともと旺盛な読書を思わせる豊かな語彙の持ち主で あったその先生は、授業料減免や学振の申請等で...
日本語空間8月4日1 分美酒気がつけばもう8月。 今年も1年の半ばを過ぎてしまった。 何をするにもこれほど暑くては、気持ちも挫けがちだが、 今晩は、学習者と12月までの予定を確認し、逆算をして 進度をはかり直した。 さて、暑かろうと寒かろうと、読書は生活習慣の一部に...
日本語空間7月28日2 分「厚い」記述を危険な真夏日が続き、屋外での行動が制限される中、クーラー をつけた室内で論文の構想をおこなうのは、何ともぜいたくな ことと、一抹の罪悪感をおぼえる。 異常気象の原因そのものが、環境に負担をかける文明的生活で あるのだから、せめて設定温度を高めにしたり、冷やした紅茶...
日本語空間7月2日2 分「拡散」を意識する論文の書き方について、ごく形式的なものでなく、 一歩踏み込んだ心得(こころえ)を語れるのは、 当人が徹底的に「書くこと」と向き合った者だけ だろう。 とりわけ、具象的な部分だけでなく、抽象的な 命題にまできっちり言及できることが肝要なのだが、...
日本語空間6月17日2 分精読とスキミング大学院に入って一変した読書習慣は、自然と「好きな本」を 読まなくなったことである。 なぜなら、読まなければならない本が多すぎ、個人的に読みたい (趣味嗜好的)本を読む時間など取れず、気になる本があっても、 いつかそのうちと思っているうち、時間は瞬く間に過ぎ去って...
日本語空間4月9日1 分豊穣なる読書こなさなければならない課題があるのに、 どうしてもスイッチが入らない時は、思い 切って短い時間だけ、そこから離れてみる。 無理に集中しようとしても、目が文字を 追っているだけで、内容が頭に入ってこな ければ、時間の浪費にすぎないから。...
日本語空間4月8日1 分セレンディピティを引き寄せよういざ論文を執筆する前に、テーマの決定、資料集め、 参考文献の選定、章立て等々、準備は多岐にわたる。 そういった地道な努力は必要だが、それとは別に 想像もしていなかった出会いに恵まれることもある。 たとえば、先行研究で見出されなかった資料の発見...
日本語空間4月1日1 分3月の終わりに何かと慌ただしく過ごしているうち、 ふと気がつけば、もう3月も終わろうと している。 基本的にフリーで活動をしていると、 学校や会社のような年度の区切りもない のだが、それでも4月は、1年の初めに あたる1月よりも何か新しいことが始まり そうな予感に満ちている。...
日本語空間3月24日2 分覚醒のとき人生には、後に続く日々を大きく変えるような経験の 待ち受けていることがある。 それは、自分自身が呼び寄せたものとは限らず、幾多 の偶然性に左右された結果であることもめずらしくない。 起伏が少なく、平穏な日々に満ち足りている人なら、...
日本語空間3月12日1 分複雑さをたのしむ意外に意識されていないが、学術論文を書く上で 重要な点に、単純さの回避がある。 そもそも単純すぎる記述は論文として成立しない。 換言すれば、具象的な事実をまとめただけでは、 論文にはならないのだ。 そこで欠かせないのが抽象思考である。...
日本語空間2022年12月25日1 分パズルを解くように今まで見えなかったものが見えてくる…!! といったところで、妄想でもオカルトでも ありません。 「論文」と聞くと、ひたすら書くイメージ があるでしょうが、実際には、一つの世界 を構築すると考えた方が当たっています。 研究それ自体、己で問題を設定し、それを...
日本語空間2022年10月26日2 分たった一つの「私」のテーマ学位が上がるにつれ、学びの形態も定型を離れてゆく。 つまり、1対1対応の正解や模範解答が存在しない世界 へと足を踏み入れていくのだ。 大学院ともなると、暗記方式の勉強は、基本的には おこなわない。 同じ研究科に在籍していても、テーマは皆異なるので、...
日本語空間2022年10月7日2 分未見の著者に感謝する今日は、気温が14度にまで下がった。 先日は、30度近くまであったのに、寒暖の差 が激しくて戸惑う。 事務所の猫は、換毛期を迎えていて、毛が塊で 抜けるが、じき冬用の長い毛が生えてくるだろう。 来月で、ここに迎え入れてからちょうど2年に なる。...
日本語空間2022年9月24日2 分「新しい中世」今週、日本には台風が来ていて、毎日悪天候が続いた。 ただ、涼しくなり一昨日からエアコンを使わなくて済む ようになったため、しんと静まり返った部屋で昨日は 眠りに就こうとした。 しかし、聞こえてくる雨の音が、風流を通り越して 激しく、湿気も高いときて、寝苦しいまま朝を迎えた。...
日本語空間2022年9月1日1 分読書に無駄はない自分自身の論文のみならず、学習者のサポートのため、 さまざまな種類の参考文献を日ごろから読んでいる。 pdfのように短い形式の論文に目を通すこともあるが、 基本は、やはり本の単位だ。 前者の中にも、優れた論考は含まれるものの、後者は、...
日本語空間2022年8月28日2 分抽象的思考がコアとなる日本語で書かれているにもかかわらず、簡単に読み進められない 文章や本がある。 それらは大抵、抽象度の高い内容だ。 現実に、目は紙面を追っているのに、気づくと内容が頭に入って きていない。 恥を忍んで告白すれば、そのような際、自分はよほどレベルが低い...
日本語空間2022年7月10日2 分転変、そして転変今日も寄稿の文章を書きながら、単に自分自身の「専門」 に閉じこもり、超越的な態度を取るわけにもいかないの ではないか? と焦りにも似た思いが胸をよぎった。 終息しないパンデミック、外国での戦争、国内でのテロ といった出来事を目の当たりにして――...
日本語空間2022年6月17日2 分双方向性人にものを「教える」仕事の最たる価値は、同時に「教えられる」こと でしょう。 教えるためには、回り道をして何十倍も勉強し、その時に備えなければ なりません。 繰り返し、その営みを続けるうち、教える側にも総合力が高まります。...