日本語空間5 日前2 分分別力と創造力気がつけば9月も今日で終わり。 2、3日前まで聞こえていた蝉の声もパタリと止んだ。 ノーベル賞発表の時期が迫るこの季節、日本人では4人目 のノーベル賞受賞者である尾崎玲於奈(おざきれおな) 氏のインタビューを興味深く読んだ。...
日本語空間9月25日2 分何をなすべきか先日、恩師が主催する研究会の会報が送られてきた。 心当たりがなかったので問い合わせをしたが、過去に 発表をした人全員に、送られるものだとのことだった。 その前の号は送りそびれたらしく、時間が空いて届いた 新しい会報を、ありがたく拝読した。...
日本語空間9月4日2 分研究と実務何かと慌ただしく、不本意ながらここしばらくブログが 1週間に1回しか更新できない状態のまま、9月を迎えた。 書こうとするテーマは色々あるが、気力が追いつかず、 反省することしきり。 さて今週は、母国の大学を卒業して日本の大学院に...
日本語空間8月18日1 分「刺さる」ことば猛暑の候という挨拶は、8月上旬までとされるが、 温暖化の昨今、季節感にも異変が生じているようだ。 8月も下旬にさしかかるというのに、炎暑の候とでも いいたいような日々が続く。 しかし、台風によるぐずついた数日が過ぎ、カラッと 晴れ渡った夏空を眺めていると、渾身の力を振り絞る...
日本語空間8月12日2 分ゲニウス・ロキ「私はまたゲニウス・ロキを呼び覚まそうとしている のかと思いました」。 忘れもしない、博士論文の口頭試問の際に副査から かけられたことばである。 もともと旺盛な読書を思わせる豊かな語彙の持ち主で あったその先生は、授業料減免や学振の申請等で...
日本語空間7月28日2 分「厚い」記述を危険な真夏日が続き、屋外での行動が制限される中、クーラー をつけた室内で論文の構想をおこなうのは、何ともぜいたくな ことと、一抹の罪悪感をおぼえる。 異常気象の原因そのものが、環境に負担をかける文明的生活で あるのだから、せめて設定温度を高めにしたり、冷やした紅茶...
日本語空間7月21日1 分キラリと光る会話をしたり、書いたものを読ませてもらったりしたとき、 「キラリと光るもの」を感じさせる人がいる。 それは、すでに開花しきった才能ではなく、「芽」の段階 ともいえるのだけど、ありきたりでない何かなのである。 たとえば学術論文においても、研究業績を積んだ者でなく、...
日本語空間7月8日1 分ルビコン川を渡る?今では当然のように受容されているシステムの中にも、 登場当時は、賛否両論を生んだものがあった。 最初は警戒心を抱いたとしても、利便性が優先される うち、それなしではいられなくなる。 ChatGPTが注目を集めるこの日頃、東京大学の副学長...
日本語空間7月2日2 分「拡散」を意識する論文の書き方について、ごく形式的なものでなく、 一歩踏み込んだ心得(こころえ)を語れるのは、 当人が徹底的に「書くこと」と向き合った者だけ だろう。 とりわけ、具象的な部分だけでなく、抽象的な 命題にまできっちり言及できることが肝要なのだが、...
日本語空間6月30日2 分ことばの身体性どのような人間も、生まれ育った環境とは 無縁ではない。 なぜこのようなことを書いたかというと、 現在、大学や大学院の教員に完全な デジタル世代がほぼ存在しないということ を、よく考えるからだ。 単純に、アナログが時代遅れでデジタルが すべてにおいて優れているなどとはいえず、...
日本語空間6月22日1 分非日常先日の授業中、学習者と話していて「非日常」と いうことばが飛び出した。 安定した日常は大切だが、たとえば自分にとって の転機や、新しい風を呼び込むため、非日常的な 空間から刺激をもらうことも大切だ、と。 その方は、旅行が好きで、まとまった時間が取れる...
日本語空間6月11日2 分自由度!!大学院での研究が、大学までの勉強と決定的に異なるのは、 各学生が、オリジナルのテーマのもとに学びを究めること でしょう。 それこそが、大学院で学ぶ醍醐味ともいえます。 極端な話、先行研究と完全にかぶらず、学術性があれば、...
日本語空間6月8日1 分論理の縦糸「関東地方が梅雨入りした」と天気予報が 告げている。 人間は、湿気が多くうっとうしい季節と 思うが、この時期に姿を現わし、紫陽花 の葉を這い回るかたつむりは、何を感じて いるのだろうか。 さて、きわめて遅速ながら、かたつむり が動いているのは、横方向が多い気がする。...
日本語空間5月27日2 分絡まる複文日本語上級の外国人学習者にとって、ネイティブレベル の書きことばに達するための最後のステップアップが、 複文に習熟することと考えられる。 特に書きことばにおいて、作文なら自由に書いても かまわないが、アカデミックな論文では、短い単文 ばかりで文章を成していくのは不可能だ。...
日本語空間5月13日1 分『背水の陣(はいすいのじん)』の心得で昨晩、カウンセリング後に決まった論文サポートは、 何と締め切りが明日…! 「サバイバル歓迎」を謳っている『日本語空間』だが、 今回は、超がつくほどのサバイバル的状況となった。 論文の骨格はできあがっているものの、論旨が完全に 通ってはいない、参考文献が足りないという問題点が...
日本語空間5月5日2 分伝わる文章ゴールデンウィーク只中の今週、授業の数も少ないので 1年でいちばん気持ちのよい季節を満喫すべく、花々の あふれる街を歩く。 自分自身の論文の執筆や、校正の仕事中は、どうしても PCに向かう時間が多くなるが、今のような時には頭の中...
日本語空間4月18日2 分対象との距離を測りつつよりよく生きるためには、「見る」ことに長けねば ならない。 どこに立ち、どう見るかにより、向き合う対象の「像」 も変わってくる。 こう書けば、あたりまえのようだが、身をもって体験 した忘れられない出来事について記してみたい――...
日本語空間4月13日1 分知的ダイナミズムあればこそ創造的な営みには「よろこび」が伴う。 私自身が学術論文と向き合うのも、単に文章を書く のでなく、そこにあたらしい世界を出現させるべく、 創造的な取り組みをおこないうるからである。 まるで哲学の問答めくが、己が、知的ダイナミズム を招き寄せているのか? 己以前、歴史的に堆積...
日本語空間4月8日1 分セレンディピティを引き寄せよういざ論文を執筆する前に、テーマの決定、資料集め、 参考文献の選定、章立て等々、準備は多岐にわたる。 そういった地道な努力は必要だが、それとは別に 想像もしていなかった出会いに恵まれることもある。 たとえば、先行研究で見出されなかった資料の発見...
日本語空間4月1日1 分3月の終わりに何かと慌ただしく過ごしているうち、 ふと気がつけば、もう3月も終わろうと している。 基本的にフリーで活動をしていると、 学校や会社のような年度の区切りもない のだが、それでも4月は、1年の初めに あたる1月よりも何か新しいことが始まり そうな予感に満ちている。...