昨晩、授業をおこなっていて、すでに1年以上学んでいる
学習者の方(社会人)の会話が、確実に上達したのを感じた。
たとえば「悩ましい」などという語彙が、自然に口に上る
ようになっている。
私が、常日頃いうところの「こなれた日本語」に近づいた
ことが非常に喜ばしい。
だが、ご本人は、自身の日本語のレベルが足りないせいで、
直属の上司との間に「壁」があると感じているようだ。 こちらから何とかコミュニケーションを取ろうとしても、 受け入れてもらえない。
あからさまな拒絶でないものの、うっすらとバリアを張られて
いると感じる。
彼は、それを「ガラスの天井」と表現していた。
そのことばを聞いてハッとしたのは、この語が、どちらかと
いうと女性により使われてきたため、外国人男性の口から
発せられた時、自分の中にも思い込みがなかったか? と 反省させられたことによる。
そう、当然、「マイノリティ」に対する問題と認識せねば ならない。
職場の上役の中には、その上司とまったく対照的に、シニア であるにもかかわらず、和ませてくれる方もいるそうで、
「あなたを日本語の冗談で笑わせるのが目標」などと言われたり するらしい。
まさに上司も十人十色…
だが、よそよそしい相手であればあるほど、いきなりカジュアル
に接するわけにはいかず、きちんとしたことば遣いを使えること
を示さねばならない。
その学習者の方は、フレンドリーで前向きな性格だが、謙虚さ
も兼ね備えているので、日本人からは、評価が高いと考えられる。
それゆえ、距離を縮められない原因を「自分の日本語のせいだ
と思う」と分析していた。
にもかかわらず、その上司が、壁を作るのは、個人的に評価基準
が厳しいのか、やはり外国人に対してあまり優しくないのか。
入社の時点で、日本語必須とは言われておらず、前職までは、
英語で不自由なく仕事をこなしてきたが、一念発起して日本語の
勉強に精進し、成果も出てきている。
そのような外国人社員に対し、直属の上司は無論のこと、社内
全体で、日本人社員の方から歩み寄り、開かれた職場にして
いけないものだろうか。
何より、会社にとっていちばん大切なのは、上司の好みや気分で
なく、協働の環境を創出することなのだから。
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