- 日本語空間
「濃く」書く
どのような文章が評価に値するか?
それについては、これまでもしばしば言及してきま
した。
とりわけ、日本語表現の「正しさ」をクリアした
留学生にとって、意識すべきは、濃い記述と言えます。
前回お話しした、学術論文のごとく高度にアカデミック
なものは無論、本文の要約や、わずか数百字の志望理由
においてさえも、一様に重要な点です。
たとえば、学位論文や学術論文では、比較的長く書く
ことができるので、「関係性」を常に意識し、各項目を
行き来しつつ書くこと。
→アクターネットワーク的発想
反対に、短い字数制限のものは、そうであるからこそ
むだを切り詰め、婉曲かつソフトな言い回しである和語
を避け、硬く簡潔に表現できる漢語を活用します。
お気づきの方もいるかもしれませんが、「濃い記述」は
クリフォード・ギアツの「厚い記述」から発想を得たもの。
文理の専門や目的を問わず、念頭に置くことで、精錬
された文章になることを保証します。

2020.10.18
事務所のベランダから望む秋の夕景