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“腰折れ”に注意ー論述の出発点ー
大学生や大学院生のレポートを添削していて、よく目にするものに、
文章の「腰折れ」があります。
つまり、前後の文章がつながっていないということ。
文章を、人間の身体にたとえるなら、腰が折れてしまえば、まっすぐ
に立つこともできません。
顕著なケースは、前段と後段が、内容的、論理的に断絶している。
もしくは、一つの段落に、関連する内容が雑然と詰まっている。
→実際にはそうでなくとも、コピー&ペースト感が…
しかし、実際に、このような例は枚挙にいとまがありません。
または、完全に折れてしまっているわけではないものの、「書き込み」
が足りず、皮一枚でぎりぎりつながっているごとく不安定な場合も
あります。
文章を書きなれていないと、とにかく書き上げるのに精一杯で、
客観的な視点が抜け落ちており、これが根本的な問題です。
それゆえ、書くという行為は、訓練の積み重ねなのですが、
書いている途中には気づかなくとも、日をおいて見直すと、「腰折れ」
のような問題点が、浮き上がって見えてくることもあります。
自分自身で、それを見つけられるようになれば、相当な進歩。
いずれにせよ、文法や文字語彙レベルにとどまらず、論理の一貫性、
適切な言及に意識的になることは、むしろアカデミックな論述において
出発点といえるでしょう。

2021.6.17