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『空震』ふたたび

3月に入り、気温が上がってきて、天気予報によれば日曜日

には20度にもなるようだ。

窓を開けると、どこからともなく花の香りが漂ってくる。


先日、寝不足で、事務所の椅子に座ったままウトウトして

いたら、微かな振動が伝わってきて目が覚めた。

猫が、私に体をぴったりつけゴロゴロ喉を鳴らしていたの

だが、生命のバイブレーションにハッとさせられた。


ささやかな日常の風景から目を転じれば、めまぐるしく移り

変わる世界は、人間ひとり、生き物一匹のためになど立ち

止まってくれそうもない。


国際情勢からの連想で、このブログを書き始めた2年前の2月に

初読し、ブログでも取り上げたペーター・スローターダイクの

『空震――テロの源泉にて――』※を再読しようと思い立った。


スローターダイクは、「20世紀が、芸術領域におけるその

並はずれた達成と並んで、見紛う余地のないその独特の指標と

して文明の歴史にもたらしたもの」が、三つの基準を備えて

いるという。

すなわち、「テロリズムの実践」、「工業デザイン」、「環境

思想」だ。


彼は、20世紀が「いつ始まったのか」という問いに対し、それを

ドイツの「ガス連隊」が、フランス・カナダ軍に対し、塩素ガス

を大量使用した「1915年」としている。

ちなみに、スローターダイクは、ドイツ出身の社会学者。


現在、既視感のある歴史が、目の前で再現されているように感じる

のは、われわれが、未だ20世紀の延長にいることの証左か。


大気―“空”を制する者が、“地”をも制する?

人間中心主義の至上形態でもある覇権主義が、疑問にも付されない

のであれば、人新世以降の今日、われわれはどこに存在しえようか。

※ペーター・スローターダイク『空震――テロの源泉にて――』  仲正昌樹訳 御茶の水書房(2003)

Francesca Woodman Space2 Providence Rhode Island, 1976. 『空震』では、テロリズムとシュールレアリスム が「解明主義」という共通項で結びつけられている。 そこから、ふと早世の写真家・フランチェスカ・ ウッドマンを思い出した…

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