- 日本語空間
ことばのざわめき
以前、カメラ片手に一人で旅行した時、自分が操る
ことのできないその地(国内外)のことばの
「ざわめき」に身を任せるのが、何ともいえず心地
よかったです。
新鮮な感動をおぼえてしまってから、折を見ては、
小旅行を試みたものでした。
今はそんな機会も遠のきましたが…
ことばの「意味」や、具象的な世界に疲れると、抽象
の世界に憩いたくなります。
つまり、「ことば」を自明のように扱いながら、一方
で自明のことなど何一つないと確信(!)している。
SNS全盛の今日、気が遠くなるほど多種多様なことばが、
勢いよく飛び交っています。
おそらく、その先がどこに向かうのかも顧慮されず、
発され続ける言語表現。
日本における表現の「自由」が、「好き勝手」の別名
でないことを、自戒を込めつつ願わずにはいられません。
わずか100年にも満たない過去の歴史を、一度でも
紐解いたことがあるのなら。
生きている以上、「自由」と不可分な理知のことばを、
手放すことは許されますまい。

「白いバラ運動」のゾフィー・ショル
(1921-1943)