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「知」のリファレンスを増やそう!

大学院に進みたい 、研究をしたいという意欲はあるが、

徹底した読み書きの経験が少ない場合、文章を書きだす前に、

立ち止まってしまうのは無理もない。


特に、現在増えている社会人学生には、そのような傾向が

みとめられる。


だが、それであきらめるのは早い。

ポイントを押さえれば、道が切り開かれる可能性は、きっと

ある。


とはいえ、アカデミックな論述をおこなうには、たとえ短い

字数の志望理由書であっても、ただ頭のなかにあることを、

書けばいいといいものではない。


「書くことに就く前に」という題で、一昨年、記事を書いた

ことがあり、やや重複した内容になるが、「書く」前に

必ずおこなう準備は、ズバリ「読む」ことだ!


換言すれば、「リファレンス」を増やすということである。


たとえば、論文を書く際、踏まえねばならない基本に、

先行研究を押さえる作業がある。


すばらしいアイディアが浮かんだと思っても、調べてみたら、

すでに誰かが手をつけていたというような例はめずらしくない。


多大な労力をかけ、論文を完成させたあと、その事実を知れば、

すべては水の泡になってしまう。


それゆえ、ここでの読むこととは、調べることといったほうが

適切かもしれないが、とにかく多くのリファレンスに目を通す

ことだ。


そうすれば、先行研究を踏まえられるだけでなく、その過程で

いろいろな発見や気づきが得られるだろう。


さて、理系と文系の異なりは、一般にも想像することが

むずかしくないが、「文系」と称される大きな括りにおいても、

実学と非実学には研究の内実に差がある。


話をわかりやすくするため、やや乱暴に言い切ってしまうと

非実学、すなわち哲学、文学、芸術、歴史、心理学等(人文科学)

の研究者が、じっくり時間をかけ本を多読しないことはありえない。


一方で、実学すなわち、政治、経済、経営、法学、情報学等

(社会科学)の研究者は、本を読まなくていいとはいえないが、

参照する情報がより鮮度を要する――社会の変化に応じ――こともあり、

書籍にとどまらず、PDF形式の論文に目を通す機会が多いだろう。


例外はあるものの、社会人学生の方は、多くが実学の分野に進む。


仕事の合間に、「読む」行為に集中するのは骨が折れるが、

書籍を読破していくのでなく、ネット上にアップされている

PDF形式の論文に目を通すのは、比較的負担が軽いといえる。


ただし、どこにその肝心な論文があるのか、まずは探し方から

学ばねばならない。

まさにそのような段階から助言をおこない、研究テーマの設定に、

現在、学習者の方と取り組んでいるところだ。


昨晩の授業でも、リファレンスを参照しつつ、研究テーマを徐々に

絞っていった。

「最初は、こんなところまでは考えていなかったので」といいつつ、

課題はきちんとこなしてくる、学ぶことに誠実な方である。

コンディションは上々。 来月の受験では、勝ちに行くのみ! と信じて疑わない。


   川内倫子『Halo』(2017)より

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