- 日本語空間
人気(ひとけ)を頼って
町空のつばくらめのみ新しや 中村草田男(なかむらくさたお)*

先日、事務所の近くにある商店街が、シャッター街化
してしまったと書きました。
唯一のドラッグストアも、気がつけば閉店しており…
日用雑貨は、毎日でも売れそうなのに、人々は少し
離れた量販店でまとめ買いをするのでしょうか。
昨年、そのドラッグストアの防犯カメラの上に、燕が
作った巣の写真を、ブログに載せました。
巣立ち間近で、丸々と肥えた雛の姿も。
自動ドアの真上にある防犯カメラは、人の出入りが
多いため、子育てには不向きなようですが、人の気配
があることで、カラスなどの天敵に狙われづらいのだ、と。
今日、周辺を歩いていたら、そこではなく、少し離れた
駐車場に、親燕が巣を作りはじめていました。
やはり、シャッターの閉まったドラッグストアは、
適所でないと判断したのですね。
直接、人間と交流はなくとも、その気配を頼り、街中に
ひとときの宿りをする燕。
もう少ししたら、えさを求めてにぎやかに鳴く雛たちの
姿が見えるでしょう。
*中村草田男は、近現代を代表する俳人。
解釈:いつもと変わらない街の空に、燕だけが、新しく
飛来した。
「つばくらめ」は燕の別称。