- 日本語空間
像がかたちをむすぶとき
長い論文を執筆している間、悩み、往生し、
一進一退を繰り返し・・・ふいにブレイク
スルーがおとずれれば、盛り上がる。
まるで一人芝居のようだけれど――
論文指導の方が、一区切りつき、しばらく
そのままにしてあった自分自身の論稿に
ようやく戻ってきた。
予定が1週間もずれたので、うまく書き進め
られるか不安だが、ラストスパートをかけ
ながら、あと1週間ほどで完成を目指す。
全体のデッサンと落としどころを決めた後、
書くことに就くのが常で、執筆中、内容に
多少の変化が生じるのはふつうのことだ。
大きく軌道を外してはならないが、そのずれを
微調整していく過程も、論文の醍醐味といえる。
筆者にとっても、完成後に現れる論文の像は、
あらかじめ把握できているわけではないので、
その地点にたどり着いたとき、「なるほどこう
なったか」という感慨が湧く。
そう、一つのセンテンスは、ただの「文」だが、
構成をほどこし、論理の糸を貫かせ、修辞で
端然とした外貌に仕立て、それらが連なった文章が
論文として立ち上がってくるときのよろこびは、
なにものにも代えがたい。
それゆえ、気がつけば、次の論文に向かっている。
悩んでこそ本懐を遂げられる。
見果てぬ夢を追うように、今日も明日も、粛々と
ことばを紡いでいこう!
