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冬来たりなば

「冬来たりなば春遠からじ」ということばがある。

ロマン派の詩人・シェリーの『西風に寄せる歌』の一節から

取られたもので、「冬が来たなら、もう春は遠くない」の意。


すなわち、どんなに過酷な試練もいつかは過ぎ去り、それに

耐えた者にふさわしい明るい時節が訪れる、と解釈される。


世界レベルで蔓延し、収束する気配がないコロナと、ついに

外国人の新規入国全面禁止に踏み切った日本政府の対応は、

12月に入ったばかりなのに、すでに厳冬の様相を呈している。


来春になったとき、比喩ではなく、われわれは状況を完全に

克服しているだろうか?


つい、先ほどのニュースで国連のグテーレス事務総長が、

特定地域渡航制限は「トラベル・アパルトヘイト」だと

指摘していた。


出る方でなく入る方に対してとはいえ、現今の日本の対応も、

21世紀の「鎖国」と形容されてしまうのかもしれない

(この件については、追々考察していきたい)。


パンデミックは、あらゆる生活の局面で、人間に容赦ない

負担を強いたが、やはり気になるのは留学生の置かれた

現状だ。


今年の前半に、海外からサポートを依頼してきた大学院生

たちは、今ごろどうしているだろうか。

特に修士課程の場合、わずか2年であり、その集大成といえる

修士論文の執筆に、現地にいられないことのマイナス面は、

はかり知れない。


ひとりの方は、休学も視野に入れていると言っていたが、現在

はそれがベターな選択だろう。


大学院生の場合、外的状況のみならず、自身がまだ論文提出の

レベルに達していないと判断された場合、休学し時間を稼ぐ

ことは、むしろポジティブな選択でもある。

その間、在籍したまま、学費はかからないし、担当教員に質問

をおこなうこともできる。


他ならぬ「日本語空間」も、始動した直後、コロナ禍により

想定外の影響を大きく受けた。


ただし、学習者の数に増減はありながら、現在も、1年半以上

学び続けている方、リピーターの方、試験などで不定期に訪れる方

がいるので、求められる以上、やめる意思はない。


そう、反対に、求められてもいないのに、己だけが無理やり

仕事を続けようとするなら、その時こそ潔くやめるべきなのだ!


さて、これもきれいごとではなく、グループレベルで真摯に議論

する場から遠ざかるうち、時間感覚も薄れ、己のなかにどこか

物憂さやけだるさが募っていったようだ。


そこで、新しい年を迎える前に事態を打ち破ろうと、得意なこと

よりは苦手なことに挑戦しようと決めた。

そのひとつが、師が主催する会での来春の口頭発表だ。


加えて、短いものだが、会報に2回続けて研究の成果を発表する

機会も得た。

せっかくなので、内容も、これまでの延長でなく新境地に挑戦

することを考えている!


無論、これらは直接、生活の糧(かて)にはならない

(発表のほうは「寸志が出ます」といわれたが)。

しかし、己次第で精神的糧となり、 本当の春が訪れたとき、

それがより良い仕事にも結びつくと信じ、前進を続けたいと願う。


                 撮影 工藤智道



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