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  • 日本語空間

夏祭りの後で

事務所の近くに小さな商店街があり、コロナが

発生する前には、それなりに繁盛していたのだが、

コロナ発生後一つ、また一つと個人経営の店は

閉じられていった。


そうして、アーケードも取り外されていき、

気がつけば「シャッター街」と化してしまった

のである。


とりわけ高齢者が経営する店は、コロナ禍により

一気に客足が遠のいたことで、対策を講じる術

もなかったのだろう。

キャッシュカードが使えず、現金のみの支払いと

いうことも、不人気の原因となったかもしれない。


時折りのぞいていた古着屋も果物屋も、記憶の

中にその姿をとどめるばかりとなった。

「かくしゃくたる」という形容がぴったりだった

女性店主たちは、今頃どうしているのだろう…


だが、街が丸ごと消えてしまったわけではなく、

一部の酒屋やレストランは健闘をしているようで

コロナ収束後には、朝市などが開かれていたが、

今年は何年かぶりに夏祭りが開かれることとなった。


最近は、事務所に来るのが昼近くで退勤は夕方以降

のため、商店街へ足を運ぶ前、神輿(みこし)を担ぐ

声に気づかされた。

一昨日、昨日と続き、隣の方から元気な子どもの

「わっしょい、わっしょい」という声が聞こえた

のである。


それに耳を澄ませつつ、祭りの現場を目の当たりに

せずとも、声だけ聞きながらその姿を想像するのも

風流だなと感じていた。


「わっしょい」の語源は、諸説あるが「和して(神輿を)

背負う」という説にはリアリティがある。


商店街はひっそりしてしまったが、おそらく子ども

たちは、語源など意識せず、しかし長い間続いてきた

ことばを身体化して継承していくのだろう。



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