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学会に所属する
在籍する大学院という「内」の世界とともに、学界(!)と
いう広い世界全体に所属したとみなされます。
大学生でも、学会への入会は可能ですが、大学院生ともなる
と、関連分野の学会に所属することが一般的です。
私自身、学会に所属するべき、とか、この学会に所属しなさい、
と先生から言われた記憶はありません。
にもかかわらず、それは自明のことと考えられ、みずからの
判断で学会を選び、入会していました。※1
己にとって良かったのは、一応の専門分野はあっても、学際性
の強い研究をしていたため、入れそうな学会が、いくつもあった
ことです。
人により異なるかもしれませんが、私にとって、入会の主たる
目的は、何より投稿論文の資格を得ることでした。
たとえば、三つの学会に所属すれば、年に3回、投稿資格がある
という。※2
修士課程、博士課程の入学試験に際し、提出した論文は、想像以上
の高評価を得られましたが、それがあっさり認められすぎた気が
して、早く「他流試合」をしたい気持ちに駆られていたのです。
特に、博士課程ともなると、博士論文1本のみで学位が得られる
わけではなく、博論提出までの研究業績が吟味されます。
そのため、審査をパスした投稿論文の数を増やすことが、切実に
求められるのです。
大学院で、日本語教育を専攻する博士課程の留学生と、研究業績に
関する話をしていた時、専門の「幅」があることを、うらやまし
がられました。
つまり、日本語教育のような分野では、専門が絞られるので、所属
できる学会もわずかになります。
その中で、投稿に際しては、基本的に、教員も学生も平等に扱われ
るのです。
いわば、パイを奪い合う状況とも言え、執筆経験の少ない学生に
とっては確かに厳しい…
一方で、超域的な研究をしていると、微妙な判定をもらうこともあり
ました。
それは、投稿した論文が、「当学会の領域では審査できない」という
判定「不可」ならぬ判定「不能」で帰ってきたケースです。
査読を待つ時間を無駄にした! とそのときは、悔しく感じましたが、
今となっては、稀な経験をしたものだと、懐かしく思い返したりします。
※1 推薦者が必要な学会と、申請をし会費を払うだけで、比較的容易に
入れる学会に分かれる。
※2 投稿は年に1回か2回。

地球儀と地図を使う女性(1841)
天文趣味の夜明け…!
イギリスのビクトリア朝には、玄人はだしの
アマチュア天文家が存在した。
彼・彼女らを支えていたのは、見返りや打算を
抜きにした「知」への愛と情熱だったのである。