- 日本語空間
忙中閑(ぼうちゅうかん)あり
ふしぎな連想…
動画のアルゴリズムで薦められた曲のタイトルが、大学院生
時代に、恩師と初めて会った喫茶店を思い出させた。
今、昭和的な「喫茶店」が、若者の間でブームだという。
レトロモダンなテイストが好まれ続ける日本にあって?
上の年代にとってはあたりまえのものが、新しい世代には
新鮮に映るのだろう。
先生に指定されたのも、そんなカフェではない老舗の
レストランに併設された喫茶店だった。
絨毯の敷かれた明るい店内…
著書の写真でしか知らない先生が見分けられるだろうか?
しかし、相手は私を見たことがないのだから、こちら
から声をかけるしかない。
その場に現れた先生は、全身オフホワイトで、同系色の
マフラーを巻かれていたと記憶している。
学外で教鞭を取られているのに、それ以降も、何度も
研究のことで相談に乗っていただいた先生は、いつも
明るいオフホワイトの服装をなさっていた。
今、学位論文のサポートをしている留学生のテーマが、
先生の専攻領域と重なっており、何度お話したいと
思ったかしれない。
だが、すでに病床に着かれ、話すことがかなわなくなって
しまった先生に、私は心の中で話しかけるばかりだ。
その時も、お話をしていただくことがありがたい
と感じていたが、今となっては、それがどんなに
貴いことであったか、繰り返し思い返している。
