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拮抗しつつ共存する

週末の選挙結果を受け、各メディアは、見どころを報じ、

各党は総括をおこなっています。


投票前の予想を裏切り、コロナや経済政策、政治資金の

問題等で、支持率を落としていた与党は、自民党が議席を

減らしたにもかかわらず、絶対安定多数を維持しました。


一方、共闘体制により政権奪取を図った野党は、力が及ばず、

結果的に、前回より議席数を減らしました。


現在は、野党の戦術が失敗したと強調され、党首はあたかも

戦犯扱いですが、「勝てば官軍」というのでは単純すぎますね。


内実を見れば、結果的に野党候補が落選しても、票数が僅差の

地域も多かったし、盤石な体制の与党を切り崩し、今後も柔軟

に闘いを挑むという意味では、失敗から学ぶことも大いにある

のではないでしょうか。


今回、あらためて興味深かったのは、都道府県別の政党支持の

分布図です。


東北地方の山形県、青森県、北陸の石川県、富山県、北関東の

群馬県は、自民党一色の結果となりましたが、北海道は、

12議席中、与党の自民が6、公明が1、野党の立憲民主が5と、

革新勢力が健闘しています。


これに似ているのが、神奈川県で、18議席中、自民党が11、立憲

民主党が7議席。

ただし、自民党の候補者には、前首相と現大臣が3人もおり、

当選が比較的容易だったことを考え合わせると、かなり力が拮抗

しているといえます。


全国の中で、今回、最も特色のある結果を出したのが佐賀県で、

2議席すべてを立憲民主党が取りました。


あくまでも仮の推測で、深い分析は追々おこなうつもりですが、

このような政党支持の地盤には、近代からの歴史が関わっている

と考えられます。


北海道の函館、神奈川県の横浜は、幕末の1959年、江戸(東京)に

先んじ、開港を果たしました。

国際港のある都市は、ヒトやモノの流動が小止み無く、海の外に

向かい開かれているため、革新的な空気が醸されるのでしょう。


北海道は、それに加え、開拓地だったことから、本州とは異なり、

労働組合の力が強かったという経緯もあります。


佐賀県は、明治維新を主導した「薩・長・土・肥」の“肥”、

すなわち肥前藩に当たります。

→薩摩藩(鹿児島県)・長州藩(山口県)・土佐藩(高知県)


しかし、1874年、明治政府に対し肥前の不平士族が「佐賀の乱」

を起こし、激戦の末、国民軍に鎮圧されました。

このあたり、マジョリティになびくのでない反骨精神が、現在も

根づいているのでしょうか。


国民軍、すなわち政府の側で陣頭に立ったのは、鹿児島県出身の

大久保利通と山口県出身の伊藤博文。

山口県は、保守王国と呼ばれる地域の一部を占め、今回も議席を

自民党が占めました。


私自身、特定の政党を支持してはいませんが、外国人に接する

機会が多く、学術にたずさわる身として、多様性の尊重は自明

であるため、超保守にはなりえません。


基本的には、互いに異なる力が拮抗しつつ共存するのが、ひとつ

の健全なありかただと考えます。

もし、自分の推す勢力が、すべての議席を独占したら、かえって

怖くなるでしょう。


それゆえ、政治の世界にとどまらず、学問の世界でも、言論・思想

の自由が保証され、議論が人間の進歩を促すと信じます。




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