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文化では食べられない?
帰宅途中、ふとガラス越しに映ったTVの画面で
河野太郎という政治家が「文化では食べられない」
と発言しているのを見かけ、唖然としました。
少し前から、デジタル化への移行に伴い、印鑑の
廃止を唱えてきた人物ですが、その伝統的な
「はんこ」文化に対する発言だったのです。
政府が主導する以前に、印鑑の使用は減少傾向に
あったため、職人さんたちは、このような方針に
不安を抱えていたようです。
はんこ文化に限らず、さまざまな文化が興隆して
は滅びていきました。
栄枯衰勢の習いは、今にはじまったことではない
けれど。
私自身、このように言ったからといって、守旧的
な心情を有しているわけなどではありません。
しかし、デジタル化それ自体は「手段」であり、
「何」を「どう」促進するのかという明確なビョンが、
深慮されてはいないように見受けます。
経済産業省で官僚として働き、英国で博士号まで
取得した知識人が、老人(の政治家)が、やたらに
「構造改革」と威勢よく「改革」を唱え、国を混乱
に陥れた、と苦々しく語っていました。
デジタル化も、今さら声高に叫ぶものではなく、
むしろ時流に即したものなので、あまりそれを強硬に
行うのは、かえって頑迷で古くさく感じられますね。
上述した保守派の論客は、また故意のように乱暴な
口調で「経済、経済、言いやがって」とのたまって
いました。
河野さんの言は、大臣としては、心で思う分にも公の
場で口にすべきものではないでしょう。
何より、自分自身が「世襲」という幸運に恵まれた?
のですから、政治的パフォーマンスだけでない「伝統」
への敬意を、謙虚に示してほしいものです。

10月19日、東京都内において、IT企業の有志
が、長年使用してきたはんこに感謝の念を
こめ「はんこ供養」を行いました。