- 日本語空間
文章との距離
文章は、長くなればなるほど、自分自身との間に距離を取らないと、
全体が視野に入りません。
あたりまえのことのようですが、距離が近すぎると、書き進められ
なくなってしまいます。
以前、外国に投稿をしたとき、審査を通過したのはよかったのですが、
最終の校正時間が少ししかあたえられず、パニックのようになりました。
日本では、慎重さを期して、倍以上の時間があたえられるので…
まあ、それも訓練にはなりましたが。
文章は、その場で直して終わりでなく、最低でも1日置いて見ないと、
推敲が不可能です。
また、画面上でなく、必ずプリントアウトしてチェックすること。
音読をして、だれかに聞いてもらうこと。
もし、だれかに聞いてもらわなくとも、声を上げて読んでみると、そう
しないときよりも、不備に気づきやすいです。
現代は、手書きでなくなり、書くのではなく打つのが主流になったとは
いえ、文章をものする行為とは、アナログな性格を多分に有するものだと
つくづく思います。

歌川広重『大はしあたけの夕立』
(名所江戸百景)より