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日本語の音声:高さ
先日書いたように、母語の干渉や個々人の癖等があるため、
音声の指導には、すべての学習者に対応できるたった一つの方法
がありません。
それゆえ、プライベートレッスンのような形態は、適していると
いえますが、個人でも、日本語の音声の基本的な法則をおさえる
ことで、ある程度の自律学習が可能です。
ブログという形式上、大量の文字数を費やすことはできないため、
あえて2点に絞ってお話ししたいと思います。
そのうちの1点は、高低アクセントに関するものです。
※ただし、標準語を基準にお話しします。
[1]高低アクセントの最も基本的な法則は、ことばの最初の1音目と
2音目の高さが異なることです。
つまり、下→上、もしくは上→下、となります。
無アクセントのような、上→上、下→下、はありません。
[2]そして、高低アクセントと呼ばれるものには、四つの型があります。
1.平板型(へいばんがた) 下から上にあがって、そのまま。
2.頭高型(あたまだかがた) 上から下に下がる。
3.中高型(なかだかがた) 下から上にあがり、また下がる。
4.尾高型(おだかがた) 下から上にあがるが、助詞がついたときに
下がる。
四つの型を練習するときには、活用のない名詞からおこなうのが、
わかりやすいです。
たとえば、4拍の名詞においては、7割以上が平板型といわれています。
例)大学、空想、運動、薄味、人工… (“しりとり”にしてみました)
→助詞「が」をつけても、上がったまま。
また、若者ことばの影響等で、頭高型の名詞が、平板型に変化した例は
少なくありません。
例)ゼミ、ドラマ、バイク
※ただし、アナウンサーは、以前のアクセントで発音しています。
1の平板型と2の頭高型は、比較的わかりやすいですが、3の中高型は、
どこで下がるかがポイントです。
下がるところを、滝が落ちるのに見立てて「アクセントの滝(たき)」
と呼びます。
例)歯科医 し(下)・か(上)・い(下)
湖 み(下)・ず(上)・う(上)・み(下)
また、4の尾高型は、名詞のままでは、平板型と同じですが、助詞が
ついたときには、助詞の前に、アクセントの滝があります。
例)妹が い(下)・も(上)・う(上)・と(上)・が(下)
心が こ(下)・こ(上)・ろ(上)・が(下)
名詞レベル、短い語では、アクセントをおさえやすいですが、文単位で
長くなるにつれ、難易度が上がります。
☆彡「高低アクセント」のポイント
・型をきちんとおさえる。
・「上がる」、「下がる」を、曖昧でなく、きちんと高さを意識して発音
すると、きれいに聞こえる。

Sea Organ (Croatia)