• 日本語空間

時間志向/空間志向

学際的アプローチを基に据え、研究をしていたため、

修士、博士課程を通じ、分野やテーマのぴったりと

合う教員に巡り合うことはありませんでした。


博士課程の二次試験(口頭試問)で、「入学後に、

一人で勉強することができますか?」と確認された

ほどの私です。

合格するに越したことはない? ので、「はい」

とは答えましたが、本当に孤軍奮闘することとなり

幾年月…


入学後、上記の質問をした先生は、「天才」的輝き

を持っていたという大学時代の同級生であり、

他大学で教えている先生を紹介してくださいました。


偶然、その先生の著著は修士時代に読んでいたため、

お会いしたのち、間接的なアドバイスをいただくよう

になりました。


ご自身は、病を得て、日本の大学を早期定年退職され

ましたが、アメリカやカナダの大学で教鞭を取られた

経験もあり、カリスマ性のある方です。


先日久しぶりに電話でお話をしたとき、先生は、世界

の未来に対してまったく希望が感じられない、

最近よく自分が死ぬ夢を見る、などと語られました。


奇妙なのは、先生が悲嘆すればするほど、私が軽やか

な語調になっていったことです。


先生は、つくづく「あなたは明るいですね」といわれ

ました。

それは、必ずしもほめことばではなく、あきれられて

いたのかもしれませんが。


各々が、専門とする分野とは異なりながら、先生が音楽

について、私が建築についての関心を語った後、

先生は「僕は時間の人間だが、あなたは空間の人間だね」

とも。


そういわれてみると、私には、時間が一方向に流れていく

感覚が薄い気がします。

具象的な虚構から解放され、「空間」に想いを馳せると、

清々しさに満たされるのも事実です。


だが、それゆえに、日本的「もののあわれ」の感覚にも

乏しいのかもしれず。


同じ文化のなかに生きていながら、このような時間感覚

の相違は、実に興味深いといえましょう。








    

     長谷川等伯『松林図』


長谷川等伯(はせがわとうはく)は、16世紀

から17世紀のはじめにかけて活躍した画家。

『松林図』(しょうりんず)は、後継者として

期待された息子を失ったのちに描かれた作品。

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