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書く前にデッサンを

論文は、気ままな作文とは異なるので、どのような種類

のものであっても、いきなり書き始めることは不可能で

書き足していくなどありえない。


経験がないと、早く完成させたい思いから、可視的な

文章がたまっていかないと安心できないのだろうが、

計画を練らずに文を綴っていっても、結局、煮詰まるか

内容のごく薄いもの(レポートのレベル)にとどまるか

である。


まずは、ごくおおまかに論文のデッサンをおこなうこと。

何をテーマにするのか、他の論文にはない新規性は何か、

そして「仮題」を決める。

個人的には、よい仮題が、天から降りてくるように頭に

浮かんだとき、論文自体もうまく書き進められそうな

手応えをおぼえる。


その次におこなうのが、論文を構成し、節や項のタイトル

を決めていく「章立て」の作業だ。


己自身にイメージを喚起させることは、非情に重要で、

章立ても、そのように組み立てたり壊したりしながら、

イメージに合ったものを作り上げればよい。


どのように優秀な研究者でも、否、優秀な研究者であれば

あるほど、論文を一気に書き上げたりはしないものだ。


手間暇を惜しまず、面倒がらずに、微調整をしながら

書き進んでいく。


最初は、難しく考えてしまうかもしれないが、充実した

デッサンをおこなうためには、最初から微細なアイディア

も排除しないようブレインストーミングをおこなうのが

有効である。


別に名前は、ブレストでも何でもよいのだが、あえて頭

に隙間をつくり、考えをぎゅうぎゅうに詰め込まないこと。


そこで出てきたアイディアは無論、アイディア以前の

断片のようなイメージも、「こんなの変かな?」と

ダメ出しせずに書き留めておこう。

いつか、思わぬところで、そのような断片が生きない

とも限らないのだから。


デッサンをしながら、書き出す前のワクワク感を堪能

できれば、論文はすでに半分成功したようなものだ。

ヴィルヘルム・ハンマースホイ『四つの部屋』

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