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知的ダイナミズムあればこそ
創造的な営みには「よろこび」が伴う。
私自身が学術論文と向き合うのも、単に文章を書く
のでなく、そこにあたらしい世界を出現させるべく、
創造的な取り組みをおこないうるからである。
まるで哲学の問答めくが、己が、知的ダイナミズム
を招き寄せているのか? 己以前、歴史的に堆積
した「知」が、それを可能にしているのか?
答えは相乗作用によるものだろう。
創造的な営みに「省略」や「量産」は望めない。
迷い、迂回をし、ようやくたどり着いた場所に
知の光は射し込む。
21世紀に入り、人類の知性もまた大きな転換点に
立っているようだ。
そこで、まさに現代とは何か? を考えるために、
近代の歴史を繙いている。
たとえば、近代の産業革命がもたらしたのは、生活の
質の向上と、同時に人間性の疎外だった。
Chat GPTが、今話題となっており、これからなくなる
職業、残る職業などが予想されている。
このような時期であるからこそ、無自覚に流れに飛び
乗るのでなく、少し距離を置いた場所で、己の知性と
感性を研ぎ澄ますことが求められているのだろう。

チウ・ション監督『郊外の鳥たち』