人間の“欲”の最たるものは、知識欲かもしれない。
いくら物質的に満たされたところで、もっと「知りたい」
という望みは、果てないのだから。
そして、この基本的欲求こそが、研究を推進させる原動力
なのだ。
今日、午前中に読んでいた新聞には、知恵の実たるリンゴ
への言及があった。
フランコ・モレッティの指摘どおり、人ひとりに与えられた
時間の有限性を考えれば、「世界」の未読という事態は
永遠に解決しえない。
そうであっても、文明の側についたわれわれは、「知ろう」
と努めねばならないのだ。
Therefore 我好中意食蘋果.
思想の自由がないところに、良心は存在せず、研究の意義も
また存在しない。
閉塞させられつつあるかの地ーそこもまた港町なのだーと、
地続きに広がる世界に、想いを馳せる。
自由に見るな、聞くな…つまりは、知るな! だと?
社会の変化があまりに早く、目を奪うものが多すぎるせいで、
われわれは、本質的に大切なものに対し、声を上げること
もできないのか。
だが、自由に思考する態度だけは、何があっても手放しては
ならない!
そうすれば、かの木は、必ずや未来に、再びたわわな実を
つけるだろう。
マックス・エルンスト
「透き通った最初のことばを聞いて」
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