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転換期の人間(2)「モダン」
少し前に、TV番組で、幕末の武士の写真が紹介されました。
なかでも、モダンな「たたずまい」の武士に、驚きの声が
上がったようです。
彼らは、確かに、150年前というより(服装はともかく)今、
街中(まちなか)を歩いていてもおかしくないような雰囲気
を漂わせています。
一体その「あたらしさ」はどこからくるのか? と考えると、
彼らの進取(しんしゅ)の精神が関係している、と思えて
なりません。
特に、「顔立ち」は、持って生まれたものですが、「顔つき」
には、そのひとの生き方が反映されるといいます。
明日の故国がどうなるかもわからない時代の転換期。
彼らは、まっすぐ未来を見据えながら、自身の生き方を模索
(もさく)していたのではないでしょうか。

池田長発 いけだ ながおき(1837-1879)
井原(現在の岡山県)領主の家に生まれる。
昌平黌(しょうへいこう)―― 東京大学の
源流 ――で、優秀な成績を収め、外国奉行
となる。1863年に、交渉をおこなうため
フランスへ渡った。
帰国後、「開国」を主張し、処分を受ける
が、のちに許されて軍艦奉行並となる。

奥平昌邁 おくだいら まさゆき(1855-1884)
中津藩(現在の大分県)の最後の藩主。
慶応義塾に入学後、福沢諭吉(ふくざわゆきち)
に勧められ、1871年、アメリカへ留学した。
帰国後、東京府議会議員となる。
家格(かかく)ではなく、実力重視の人材登用
をおこない、教育の方面でも足跡を残した。