- 日本語空間
読書術 (2)速読と精読を組み合わせる
読書行為が、すでに身についている方には、各々、習慣
や流儀があるでしょう。
私のそれも、誰かに教わったのではなく、自然に身に
ついたものです。
昨日は、私にとっての基本的な読書行為である“併読”を
挙げました。
その他に、“速読”と“精読”の組み合わせがあります。
あらゆる本に書かれている内容は、具象的なものと抽象的
なものに、ざっくり分けられます。
換言すれば、前者は、客観的な事実に基づいて書かれており、
後者は、ある措定の上で論じられるといえるでしょう。
たとえば、歴史学において、通史的な記述は前者にあたり、
理論をもちいた歴史哲学は後者にあたります。
具象的な内容は、ザックザックと読み進めることが可能
なので、本当に必要な部分だけに集中し、枝葉のような箇所
は、読み飛ばしていきます。
↓
誰が書いた著書でも同じとはいえないまでも、あらかじめ
一定以上の共通認識によっているため、深く考える必要はない。
とりあえず押さえておく情報。
しかし、抽象的な内容は、より集中し、内容を咀嚼すること
となります。
↓
基本的には、束の間の理論(passing theory)とみなされる
が、示唆を与えられることが多い。
双方の読書を、交互に、可能な限り長時間おこないます。
それによって、非常に密度の濃い読書行為が成り立つのです。

南禅寺・水路閣(京都)