- 日本語空間
「生活」
数年前、執筆の終わりがくるとも感じられない
博士論文と向かい合い、大学図書館から閉館
間近、足早に帰るとき、講堂の前でいつもギター
を弾いているひとがいました。
晩秋の冷え切った空気の中、延々とドラマティック
にかき鳴らされるギターの音(ね)に、何度となく
足を止め、耳を傾けたものです。
そのひとは、講堂の庇の下にうずくまるように
してギターを弾いていたので、顔はよく見えません
でした。
モラトリアムな生活を送っていると、毎日は、日付
をなくしてしまったかのごとく、曜日の感覚もなく。
ただ季節が、勝手に移ろっていくようで。
1日は、別な1日に似ていました。
小林私(こばやしわたし)さんは、今、注目を
集めているシンガーソングライターで、
多摩美術大学の油絵学科に在籍中です。
小林さんが、かき鳴らすギターに、あの凍(い)て
ついた夜の道を思い出しました。
2019年バージョン
小林さんは、東京都あきる野市の出身だそう
です。この動画では、郊外の感じが伝わって
きますね。
2020年バージョン
「抜け感」はあるけれど、原曲とはだいぶ
異なった趣きです。
「らりるれろ」がR発音…