- 日本語空間
デジャヴ
散歩をしていて、小道などに古びた椅子が二つ
置いてあるのを、時々見かける。
日本だけでなく、カメラを片手に出かけた外国
でも、そのような光景に出会った。
誰かが腰をかけ憩うようすも、心なごむもの
だが、椅子だけがぽつんとあるだけの佇まい
に、より惹かれている自分がいる。
いつ、誰が、そこに椅子を置いたのか?
知ることはかなわないが、見知らぬ人(おそらく
は一生会うこともない)を思い、そうした
のに相違ない。
そして、その数は、決まって二つなのだった。
既視感のある場所に何度も巡り会うふしぎ――

2023.2.23