- 日本語空間
春の気配
「冬来たりなば春遠からじ」のことば通り、冬で
あっても、周囲をよく見ると春の気配は、そこここに
うかがえる。
昨年末には、桜が蕾(つぼみ)をつけているのを
見かけたし、芳香が漂っているので元を探すと
水仙の花が群生しているのに出くわしたりする。
都市に住んでいても、このようにささやかな自然と
接せられるのは、かけがえのないことと感じる。
昨日、チャイナタウンを通りかかると、にぎやかな
音楽が聞こえてきた。
その方向に進んでいくと、春節の祭りで、中華学校
の生徒たちが、獅子舞や龍舞を披露しているのだった。
何かイベントを見に行こうとか、そこに参加しよう
など、勢い込まずとも、通りがかりにこのような
光景にぶつかるのもまた楽しい。
憂いの絶えない世であっても、確実に春は巡って
くる。
