- 日本語空間
饗宴(きょうえん)
昨年と同じく、コロナ禍の状況で、GWも
あっという間に過ぎました。
しかし、5月は、1年でいちばん過ごしやすく、
降り注ぐ陽光に、新緑と花々の美しい季節。
このような折であるからこそ、すべての人に
等しい恵みが、一層ありがたく感じられ…
ここ港町では、今、市の花である薔薇が、
そこかしこに咲いています。

特に、園芸が趣味という現在の市長の代になってから、
花で彩る街の美観には、力が入っているようで。
あたかもリレーのごとく、ある種の花が咲き終える
と、別な種の花が咲き出すさまは、見事というほか
ありません。

自然なように見えて、実は細かい計算が、隅々まで
行き届いているのでしょう。
昨年、立ち入り禁止になっていたローズガーデンは、
今年は、それなりの人出でした。

日常の回復が完全に見込めなくとも、自由に庭園を歩き
回る人たちは、華やいで見えました。
私も、図書館の行き帰りに、そこを通りましたが。
今さらながら、夕方から夜にかけ、人影のない庭園では、
薔薇の気配がより濃厚であることに気づき、造化の美に
思いを巡らせていたのです。
