今日は、ターミナルに来ています。 屋上からは、各種の船が行き交うのが見えます。 現在は、移動の制限があるため、せめて海を見ることで、 遠い土地に想いを馳せようと。
さて、先日お話しした通り、文はひとつのセンテンス
から成るもので、それが適所に配置されたものが、
初めて文章といえるでしょう。 すなわち「何を」「いかに」書くかということと同時に、 「細部」と「全体」の関わりが、不断に問われている のです。 こう書くと、いささか抽象的に聞こえるかもしれません が、実際に論文を添削していて、そのことをしばしば 確認させられます。 たとえば、ひとつのセンテンスの中に、文法や文字語彙 の誤りがほとんどなくとも、読み進めようとすると、 前後の関係がわかりづらく、阻まれてしまうようなとき には、文の提出順が関係していることが多いです。 そのようなときには、ひとつの章の中だけでなく、
時には、隔たった章同士で、文の入れ替えをおこなわねば
ならないことも珍しくはありません。
もし最低限の章立てと構成ができていても、起こりうる 問題で、程度の差こそあれ、ネイティブの研究者であっても
このような確認作業は、完成の前に経るはず。
論文の文字数が、長くなればばるほど、単純に長く書く
労力ではなく、細部と全体の関わりの難易度が上がります。
いったん文章を書き上げる過程で、基本的な正確さを抑え、
それから、精確さを万全にしていくということ。
論理的一貫性を通せば、文は、流れて文章となり、やがて 船出のときを迎えます。
大学の卒業論文は、約2万字、修士論文は
4万字以上、博士論文は上限がないようです。
これまでサポートした留学生の論文の中で、
一番長かったのは、10万字余りの修士論文
でした。