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ミニマルな生活

「生活をシンプルにしたいんですよ」。

修士課程1年の時、給湯室でよく顔を合わせた外国人留学生は、

切実な面持ちでそう言った。

彼女は、博士課程に在籍中で、博論の完成まであと一息という

ところだった。


「ホント、1か月山にこもりたいです」。

修士課程2年の時、専攻を超え履修していた授業で同じクラス

だった日本人学生は、夏休みを控え、ため息まじりにそう言った。

希望はそうでも、定期的に入っているアルバイトがあるし、と。


どちらの時も、私自身、気持ちを代弁してもらっているようで、

ことばもなく、ただうなずいていた記憶がある。


大学までは、いわば横並びの学びをおこなうが、大学院に入ると、

各人が、最終的に自身のオリジナルテーマと向き合うこととなる。

進め方も人それぞれで、皆が、修了年限ちょうどで終わるとは

限らない。


そこで、いかに研究に集中できるかが求められ、勢い生活の中の

優先順位というものも出てくる。


生活が、雑多でノイズに満ちていたら、精神集中などできない。

多くの人間が、そうして思い至るのが、引き算的にいらない要素

を削っていく行為なのだろう。


大学院を修了したのちも、私には、この習慣が残った。

一種の生活術として身についたとも言える。


「時間は有限である」と切実に意識したのは、いかに得難い経験

だったか、と感謝する次第だ。


今朝、皇族の一人である女性が、一般人男性と結婚し、皇籍を離脱

するというニュースが報じられていた。


二人は、ICU(国際キリスト教大学)の同級生として出会った。

皇族の通う学習院大学でなく、リベラルアーツの伝統を誇る同学に

学んだ彼女は、恩師によると、見た目のしとやかさとは裏腹に、

非常に行動的だったそうだ。


そして迎えた今日、しきたりや文化的束縛と同時に、安定をも脱ぎ

捨て、一個人としてパートナーと共に新天地へ旅立つ。















ミニマリズムも徹底したら、無機的になる

かもしれない。

事務所で野良猫を保護したのは1年近く前。

覚悟はしていたが、想像以上に、世話をする

のは手間がかかった。

「ああ、時間が・・・」と思ったこともある。

しかし、この猫がいるおかげで、生活に潤い

がもたらされていると感じる。

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