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春暁(しゅんぎょう)






















夜型の生活を朝型に変えよう、変えよう、と思いつつ

幾年月…


実際には、0時を回れば、翌日なのにもかかわらず、

寝る前に可能な限りのタスクをこなしてしまおうと

「欲張る」態度が、元凶とわかっているのに。


さらに、この季節は、1年でいちばん快適であるため、

漢詩の「春暁」さながら、遅起きに誘う(?)ような

陽気でもあり。


小中学校で勉強する漢詩のなかでも、この「春暁」は、

親しみやすい内容なので、おとなになっても記憶して

いる人が多いのではないでしょうか。


調べてみると、出版社によっては、早くも小学5年生

向けの教科書で取り上げているようです。


頭が柔らかい年少のころに教わった定型詩は、

格調高く、リズムもすっとなじむため、今でも空(そら)

で暗誦することが難しくありません。


日本では、この詩を読むとき、訓点を付し、読み下すこと

で、いわば文化的な身体化を試みています。


「春眠暁を覚えず、     しゅんみんあかつきをおぼえず

 処処啼鳥を聞く。     しょしょていちょうをきく

 夜来風雨の声、      やらいふううのこえ

 花落つること知る多少。  はなおつることしるたしょう」


こうすれば、小学校の高学年でも、意味がわかりやすい

ですね。


「春の眠りは心地良いので、夜が明けたのも気づかないほどだ。

 目覚めれば、あちこちで鳥のさえずりが聞こえる。

 そういえば、ゆうべ(昨夜)は、風と雨の音がしていた。

 一体、どれくらいの花が散ったのだろうか。」


作者の孟浩然(もうこうねん)は、科挙に数回落ちながら、

最終的には、出世に絶対的な価値観を置かなかった人物

といわれています。


なるほど、時間に管理された生活からは程遠い超俗的な

ありかたには、しかし、それなりの覚悟も伴うでしょう。


いにしえの大詩人の闊達さには憧れますが、それほど

スケールが大きくはないのは無論、フリーで働く身として

は、規律も必要。


何より、好きな仕事であれば、それは苦でも何でもなく。

時間の使い方には、工夫の余地がある、と感じているので。


春暁に抗し、今春こそ、有限不実行でない、朝型の生活

を目指すことにします!












   

   雨に耐え、咲き残った桜。

      2021.4.4

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