日本語空間

2022年10月20日

豊穣の秋に

コロナが発生してから、外出、特に遠出の機会が減り、

家や事務所にいる時以外は、近場を歩くことが多くなった。

そのおかげか、「自然」に目が向くようになり、以前は

あたりまえに感じていた恩恵を、かけがえのないものと

考えられるようになったのは、不幸中の幸いといえる。

季節の移ろいにも敏感になり、室内に金木犀の香りが

流れ込んでくれば、しみじみ秋だなと思う。

近所の家では、庭に柿を植えているところが多く、今、

枝もたわわにオレンジ色の実がみのっている。

とてもおいしそうに見えるのだが、ふしぎなことに、

それらの家では、申し合わせたように皆、実を取ろうと

いう気配がない。
 
そうして、地面に落ちるか、からすに突つかせるままに

しているのである。

秋といえば、イベントの多いシーズンでもあり、この港町

は、ほぼ毎週末何かしらのイベントで盛り上がっている。

めずらしいところでは、先週末、きのこ祭りが開かれた

ようだ。

少し前に、きのこマニアがいるという話を耳にしたのだが、

単に消費するのでなく、研究などと結びつけているのは

興味ぶかい。

さて、私自身にとって今年最後の論文も、脱稿を済ませ、

後は校正を待つばかりとなった。

それが活字化したら、恩師に、挨拶を兼ねた報告をしたい
 
と考えている。

学習者の方の論文も、終章の案が練られてきて、非常によい

手応えだ。

理想と現実には、懸隔があるが、優秀な学習者に巡り会えた

おかげで、丁寧に話し合いを積み重ね、ここまで大切に文章

を運んでこられたことをよろこばしく思う。

この論文も、豊かに熟し、ほどなく収穫の時を迎えるだろう。
 


 

 

 

 

 

 

 

 

 
この「きのこ大祭」は各地で開かれている。
 
 

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