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キラリと光る
会話をしたり、書いたものを読ませてもらったりしたとき、
「キラリと光るもの」を感じさせる人がいる。
それは、すでに開花しきった才能ではなく、「芽」の段階
ともいえるのだけど、ありきたりでない何かなのである。
たとえば学術論文においても、研究業績を積んだ者でなく、
経験の浅い者が、そうであるからこそ踏み出せる大胆な
行き方が確かにある。
この仕事に就いてから、研究者の卵(そう遠くない過去に
自分自身もそうだった)に出会ってきたが、彼らの書く
文章の中にキラリと光るものを見つけて、感動したことが
何度かあった。
いわば「若書き」の魅力。
すべての研究者が、経験の浅いころに、才能の片鱗を
うかがわせるわけではないし、キラリと光るものは
その先も同様に光り続けるとも限らない。
だがそういった芽を、指導に当たる教員は、幼稚なもの
として摘み取ってしまうべきではない。
最初から完成しているものなどないし、無難な行き方から
新規性のある論文は、生まれるはずもないのだから。
