日本語空間4月12日1 分夜桜(よざくら)先週の大雨に何とか持ちこたえた桜が、わずかな蕾を残して ほぼ満開であるのを、昨日目にした。 いつも通る道で必ず目に入る樹ながら、見事に咲き切るのは、 1年にわずか数日足らずだと思いしみじみする。 同じ桜であっても、青空の下で見るのか、夜の暗がりの中で...
日本語空間3月10日1 分一雨ごとに寒の戻りなのか、少し前は春そのもののような陽気だったのに、 ここのところ肌寒い日が続いている。 それでも猫に換毛期が来ているのは、確実に春が訪れている証 なのだろう。 人間は、目に見える事物に左右されやすいが、環境におのずと 反応する動物に教えられることは少なくない。...
日本語空間2023年11月27日2 分都市と建築秋になるといつも思い出す詩がある。 あわれな 僕の魂よ おそい秋の午後には 行くがいい 建築と建築とが さびしい影を曳いている 人どおりのすくない 裏道を (立原道造『晩秋』) 最初の2行は、詩としては格別な趣があるわけでは ない抒情的な表現だ。...
日本語空間2023年10月16日2 分清澄先週、事務所の猫を連れて近くの公園へ 出かけたら、10月だというのに蝉の声が まだ聞こえていた。 一方、木々の葉は色づき始めていて、 歩いているとどこからともなく金木犀 の香りが漂ってくる。 去り行く季節と来たる季節が、束の間 交わるような自然の空間にいるのに 気づく。...