「本が読めるようになりたくて」。
現在レッスンを受けている学習者の方から、
受けた相談です。
文章力があるので、さぞかしたくさんの本を
読んできたのだろうと考えましたが、自国で
読書はあまりしてこなかったと聞き、意外でした。
理系の方ですが、絵を描くのが趣味ということ
で、ものを観察する視点が備わっているのでは
ないかと感じています。
本が読めるようになりたい、との希望は、
一読しても内容が頭に残らないのでどうしたら
いいか、というもの。
初歩的なアドバイスですが、本がきれいなまま
だったので、傍線と書き込みをおこなうよう
伝えました。
そして専門分野に関わる新書を、少しずつ読み
進め、項ごとにまとめる、わかりにくい箇所に
ついては質問する、という繰り返しをおこなう
ことにしました。
その後、要点をまとめるうち、自分自身が内容
を「わかっていなかったことがわかった」と、
清々しく伝えられました。
日本語特有の膠着的な複文や、省略に、文脈を
阻まれながらも、それゆえに良い練習となって
いるようです。
清々しいことばを胸に留め、私もより良いレッスン
をおこないたいと、あらためて思わずにはいられ
ません。
事務所のベランダから眺める見事な入道雲。
ゆく夏の名残り。