年が明けたかと思ったら、すでに1か月が経とう
としている。
この間にもさまざまな出来事があった。
記憶力はよい方で、とりとめのない過去の出来事
なども覚えていたりするのだが、先日、学習者の
方が放ったフレーズはつよく心に刻まれたのだった。
「人文学は、人間に対する『愛』じゃないですか」。
正論である。
確かに、そうあらねばならないという理想である。
とはいえ社会に出ると、雑多な現実に巻き込まれ、
事務仕事に忙殺され、それらを否応なくこなして
いく毎日に向き合うこととなる。
挙げ句には、このような正論を、それは理想だ
けれども…といったんは否定しようとする向きも
少なくはない。
だが、人文学のように、実学とは異なる分野に
理想を掲げず、いかにして進むことが可能であろうか?
かかる潔癖ともいえる態度を、学生時代を終えてからも
保つのか、それとも理想とは乖離しつつ現実に迎合して
しまうのかで、研究に対する態度も変わってくるだろう。
ジェレミー・ベンサムは、「○○とはそういうものだ」
という言説が、子孫に幸福になってほしくない祖先の
呪いだと述べた…!
さて、2020年代も半ばに差しかかろうとしている。
われわれの前に、あらかじめ「そういうもの」と
しての現実があるのでなく、われわれが不断の問い
を続けていくことで、むしろ現実はいかようにも
変わりうる。
正論を手放さずにいこう!
石(いわ)ばしる垂水(たるみ)の上のさ蕨(わらび)の
萌(も)え出(い)づる春になりにけるかも…