論述の極意は、文章全体を「構造」で捉えることだ。
たとえるなら建築のように、文章も「部分」と「全体」が
分かちがたく結びついている。
そこを丹念に見据え、現段階で書いている箇所と既に書き
上がった箇所を行ったり来たりしながら、さらに先の手応え
をつかみながら書き進んでいくのだ。
卒業論文、修士論文、博士論文といった学位論文、あるいは
業績につながる投稿論文においても基本は同じである。
基本の「正確さ」「構成」「論理性」「新規性」という
四点のうち、二分の一を占める「構成」「論理性」が、
文章の構造に関わってくる。
建築は、三次元の空間に実現されねばならないものだが、
文章も、×ボトムアップ的に書き足していき平板に書く
のでなく、構造を意識することで立体的になり奥行きが
生まれる。
さらに、高度な専門性に釣り合う文章の「格」も
備わってくる。
当然、読み手(審査員)にも読みやすく、アピールしやすい
ものとなるのはいうまでもない。