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花とIR

ここ港町の市長選が、先週の日曜日に行われ、私も投票に行ってきた。


今回の争点は、IRと呼ばれる統合型リゾート( Integrated Resort)の

可否に、ほぼ絞られていた。


現職の女性市長は、立候補時の公約では、反IRを掲げていた(2017年)

にもかかわらず、当選後に翻意し、推進に回った(2019年)経緯がある。


直後から、IRに反対する市民団体が、大規模な署名活動を展開しており、

今回は、その組織票が効力を発したようだ。


IRの表記では、実体が曖昧だが、反対派の人々が容認できなかったのは、

そこにカジノが含まれること。

合法ではあっても、賭博場が設けられることにより、海の方から、それに

附随した負の要素が流入するかもしれない、と。


何より、子どもの生育する環境に、カジノが及ぼす影響が憂慮されていた。


結果として、3期続いた市長は再選がかなわず、反IRの立場を取りつつ、

Covid-19の研究で注目を集めた元医学部の教授(専門は統計学)が、

当選を果たした。


価値観が多様化し、流動的な今日にあり、「二項対立」自体が成り立たなく

なくなっているものの、風は、保守からやや革新の方に吹いたともいえる。

この街に、長く住んでいるわけではないが、過去数年、港側の関内エリア には、花々があふれるように咲き誇り、一つの花期が終えると次の花が 咲き出すという華麗な風景が出現したのには驚かされた。 もしやと思い、市長のプロフィールを見ると「園芸」とあったので、勝手に 勝手に納得していたのである。

一方で、市長は、BMWやダイエーの代表取締役を務めた経歴を持ち、 歴史教科書の採択に関しては、愛国主義的な一面も持っている。


ガーデンネックレスと称された、花々のリレーは、見事に美しいけれど、

それには、相当な資金が費やされたはずだ。

そうして、街を美しくすることは、市民のためのみならず、観光客への 目配せでもあろう。


花と経済について考えていたら、17世紀オランダのチューリップ・バブル

が思い浮かんだ。


無心に? 咲く花には、何の責任もないけれど、それをひとつの自然と

してではなく、美的「価値」として捉えるとき、人間の思惑が渦巻く。





マリア・シビラ・メーリアン(1647-1717)の生涯は、 『境界を生きた女たち』(2001)に詳しい。 ナタリー・デーヴィス氏は、ニューヒストリーの 手法で、境界“を”(“に”でなく)生きた3女性の足跡 を生き生きと描出した。 同じ「花」を見ても、これほどまでに人間の考える ことは異なっている…

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