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  • 日本語空間

ことばをたたかわせる

連日、口頭試問の対策をおこなっている。

学習者からよく発せられる質問には、

「こんなことを言ってもいいんですか?」と

いうものが多い。


むずかしいのは、選択式の問題のようにたった

一つの正解がないことだ。

つまり一般的な傾向や、常識から導き出される

優等生的な答えはあっても、試験官にも主観や

好みが入るので、そこは「駆け引き」となる。


それゆえ、慌てず、相手の態度を見ながら、

答えを手探りしなければならない。


これまで、論文や口頭試問のサポートを依頼

してきた学習者の中には、担当教員と意思の

疎通がうまく図れていない方が少なくなかった。


外国人にとって、日本語は高コンテクストと

いうこともあり、言外の意味をあれこれ想像

しては、悩んでいる姿がよく見られたのである。


ケースバイケースと言ってしまえば、それまで

だが、対応策として大切なことは二つある。


まず、論文の質を徹底して上げること。

提出後に、論文自体が高い評価を得られていた

なら、口頭試問は格段には易しくなる。

それは、先生方の態度にも現れ、何というか

その場が歓迎ムードになるはずだ。


もう一つは、よく見せようとして、借りてきた

ようなことばを使うのでなく、論文で書いた

内容に即したことばで、明晰に話すこと。

誤解を持たれないよう、言い淀んだり、黙り

込んだりせず、整然としたことばが出てこなく

ても「話し切る」ことである。


口頭試問の場は、相手が先生だからといって

遠慮せずに、ことばをたたかわせることが

むしろ知的誠実さの表明だ。

準備万端整えたら、恩師の胸を借りるつもりで、

正々堂々と自説を展開しよう!

何より、それが学恩に報いるということなの

だから。


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