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  • 日本語空間

みんなちがって…

昨晩、日本での大学院進学を目指す外国人会社員への

授業を終えたのち、新規の学習者のカウンセリングを

おこないました。


一昨年、日本の専門学校を卒業し、大学院に入りたい

とのことでしたが、条件を満たしていないため、

まずは、大学の3年次編入を目指すこととなりました。


母国では、美容師として働いていた経験があるそう

です。


ご家族は、すでに全員日本に住んでいて、このまま

定住の予定。

将来は、帰化も視野に入れているとのこと。


N2は持っているけれど、実践的な学びが主であった

ため、アカデミックな読み書きについていけるか

不安のようで。

しかし、何があっても入学せねば、と意志は固いです。


試験の合格まで、険しい道のりが予想されますが、

全面的にサポートをすることとなりました。


「日本語空間」で学ぶ人たちは、皆さん、サバイバル的

な状況で、「何とかなりますか?」と駆け込んできます。


そこで、私は答えます。

「何とかしましょう!」と。

安易な気持ちは決してなく、しかし、「無理です」とは

簡単に言いません。


それにしても、皆さんが、多様なバックグラウンドと

堅固な意志を持っていて、目を見張らされますね。


みんなちがって、みんなすばらしい!

二つとして、同様な内容の依頼は無く…


学校での学習は、どうしても一律になりがちですが、

「日本語空間」は、個人授業ならではの強みを徹底的に

活かし、希望に沿うべく努めます。


さて、以下に紹介する詩が書かれたころ、今のように

人権はかえりみられず、「みんなちがって、みんないい」

と口にするには、勇気を伴いました。


実際に、この女性詩人は、さまざまな願いを抱きつつ、

旧弊な価値観に阻まれ、みずから命を絶つこととなります。


このような過去を踏まえ、「多様性」が否定されない

時代が、ようやく訪れたのだともいえるのですから、

個々人の可能性を大切に、それを最大限引引き出したい、

と常に希望しています。



『私と小鳥と鈴と』 金子みすゞ(1903-1930)

私が両手をひろげても、 お空はちっとも飛べないが、

飛べる小鳥は私のように、 地面(じべた)を速くは走れない。

私がからだをゆすっても、 きれいな音は出ないけど、

あの鳴る鈴は私のように、 たくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、 みんなちがって、みんないい。












 

      長谷川潔「時」


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