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抽象的思考

自身を取り巻く「何か」に違和感をおぼえ、モヤモヤが

消えないとき、抽象的な世界に想像を馳せる。

すると、それこそが「現実」と錯覚していた具象的な

形象に彩られた世界は、あくまで一つの虚構に過ぎない

ことが見出されるのだ。


妄想でもオカルトでもなく、抽象的世界は、それを

思考するとき、確実に出現する――


たとえば、調べたことをただ無難にまとめた文章を、

論文とは呼ばない。


そこに、どれほど未見の情報や希少性の高い事実が

書き込まれていようと、そのままでは火の通っていない

「素材」と同じだ。


理系の人間は、優に抽象的思考を備えているだろうが、

文系の人間にとっても、抽象的把握ができるかどうか

は、研究の質に大きく関わってくる。


むしろ研究を突き詰めていけば、文系の人間にとっても、

この方面の能力が開発されていくはずだ。


どのような研究においても、「理論的支柱」は不可欠で、

理論を援用し抽象化の過程を経ることで、論文の精度が

上がっていく。


たとえば、参考文献にあたるにしても、具象的な内容の

記述と抽象的な内容の記述では、当然、後者の方が読み

進めるのに時間がかかる。


私は、抽象度の高い内容の本を読んでいて、少し疲れたら、

具象的な内容の本を読むという繰り返しを、毎日おこなって

いる。


前者は、片手間で読むことがむずかしいため、じっくりと

精読する。

対照的に、後者は、時間をかけずにサクサクと速読して

いくのでよい。


実際には、調べたことをまとめただけの「レポート」の

ような文章を、無理やり? 論文ということで押し通して

しまっているケースも見受ける。


だが、ソフトアカデミズムでも許容されるのは大学までで、

やはり大学院レベルになれば、ハードアカデミズムの水準を

充たさねばならない。

そこで、やはり象的思考は不可欠なのである。



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