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明るい兆し

最近、事務所にいる間、船の汽笛が聞こえる回数が増えた。

コロナの流行が、抑えられてきているため、船舶の往来も

頻繁になっているのかもしれない。


今日は、終日雨だったが、やはり正午になると同時に汽笛

が響いた。


海岸寄りの港を見下ろす公園には、「霧笛(むてき)」という

名のカフェがある。

大佛次郎(おさらぎじろう)の小説にちなむものだが、以前、

外国人に、この語を説明するのに、どうニュアンスを伝えよう

かと苦労した記憶がある。


霧の奥から響いてくる汽笛は、何とも風情があり、異国にでも

いるような心地にさせられる。


霧が出ていなくとも、雨の日など、汽笛の音が一層耳につく。

昼でも薄暗い、しんと静まり返ったひとりの時間、湿り気を

帯びたようなその音を聞きながら、行き交う船の姿を思い浮かべる。


すると、天気が悪くとも、しみじみとした気分になるのだ。


しかし、実際には、音は、乾燥している空気の中でのほうが響く

という科学的な実証がある。


それでは、このような感じ方は、情緒的な作用によるものなの

だろうか?

人間の五感はふしぎなものだ。


昨日、日本で確認されたコロナの感染者数は、全国で232人。

感染者が最も多い東京と大阪で29人、16県では、感染者がゼロ

というところまできた。


繁華街は、にわかに活気を取り戻し、通りに面したテラスでは、

人々が、マスクなしで会話と飲食を楽しんでいる。


私は、というと、まだまだマスクを外すことには抵抗がある。

もしかして、マスクをずっと外せなくなるんじゃないか? 

と少々不安だ。


本日、衆議院選挙が公示され、12日間の選挙戦が火蓋を切った。


それに先立ち、昨日おこなわれた与野党党首討論会で、

「れいわ新選組」の山本太郎氏が、9月からのコロナ対策本部で、

政府の方針から感染拡大の抑止が消えたことを指摘。


それについての意見を、「立憲民主党」の枝野幸男氏に振ると、

枝野氏は、感染者が減ってきたからといって、対策を徹底しない

ことは不適切だとした上で、「留学生が入国できない」事態に

ついて言及した。


政府の水際対策に手抜かりがあり、彼らを“一切”入国させないなど

というのはおかしい、国がホテル代、食事代を負担し、10日間の

隔離をした上で、入国させるべきだと。


限られた時間内で、山積する問題に対し討論がなされる中、

留学生の問題に切り込んだ姿勢は、評価されてしかるべきだろう。


コロナ禍以降に出会った留学生たちは、皆まじめに学びたいのに、

それが叶わず苦悩していた。

私自身、大状況を変える力となれず、無力感にさいなまれていたが、

後手に回っていたといわざるを得ない問題に、ようやく光があてられ、

明るい兆しが見えた。














2021.10.20

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