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縁は異(い)なもの

一昨年、卒業論文のサポートを依頼してきた元留学生が、

先週の土曜日に結婚式を挙げました。


卒業と結婚がほぼ同時とは、珍しいこと…

しかし、そこに至るまでは、単調ではないドラマがあった

のです。


最初、彼女は添削を希望していて、あまり完璧に直しすぎ

ない方がいい、といわれたので、そのつもりでいました。

理由は、ゼミの先生にも直してもらう「余地」を残して

おきたいから、と。


しかし、年末になってもいっこうに原稿が送られてきま

せん。

恐る恐る連絡すると、彼女は、疲労とストレスでダウン

していました。


それでも、日本での就職が決まっていたので、卒論を提出

しないことには卒業できず、自動的に就職も立ち消えて

しまう。


それはもったいないと思いましたが、限界まできている

ようすが伝わってきていたので、添削は後回しにして、

悩み多い彼女の話を聞いていました。


結局、卒論は提出できず、あと1年大学に在籍することと

なりましたが、授業の履修は必要ないため、国に帰り、

静養しながら、卒論の完成に励んでいたのです。


そのいちばんつらい時、黙ってそばにいてくれたのが、

パートナーとなった男性でした。

お互い、もう何年も前からの友人だったそうです。


彼の誠実さに触れた彼女は、自分のほうからプロポーズ

をして、結婚の運びとなりました。


まさに縁は異なもの!


この場合、「異な」は、“異なる”でなく、“ふしぎな”の

意味。


昨年末、あらためて添削を依頼されましたが、さらに

その後、ゼミの先生の指導が入った卒論は、提出され、

晴れて卒業。


情熱的で、思い立ったらすぐに行動する彼女を見ていて

一時はどうなることかと冷や冷やしたこともありました

が、今、すべてはこれでよかったのだと、深く安堵して

います。


すでに起業の計画を持っているという二人が、手に手を

取り、歩んでいくことを心から祈ってやみません。













2019.4.10





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