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論文執筆はクリエイティブだ

人に何かを教えるときは、相手にたのしく学んで

ほしいと願う。


たのしいといっても、そこは大人なので、換言

すれば「知的よろこび」を感じられるように、

となるだろう。

論文の執筆に関していえば、その営みはきわめて

クリエイティブであり、自分だけの世界を構築して

いくたのしみがあるといっても過言ではない。


たしかに、論文は「書く」ことを抜きにしては、

現前させることがかなわないが、単に文を綴ると

いう行為がすべてではなく、まず、実際に書き出す

前の作業をいかに積み重ねていくかが肝要となる。


これまで依頼を受けた学習者の論文は、ほとんど

が「章立て」の作業をおこなっておらず、いきなり

書き始められていた。


そのため、日本語の表面的な意味は伝わっても、

整理されていないため読みづらく、論旨もぼやけて

しまっていたのである。


早く仕上げたい気持ちはわかるが、構成をおこなわず

に書き出しても、結局書きあぐねてしまうのだから、

面倒がらずに、骨組みを丁寧にこしらえねばならない。


文を平板に書く、というより、伝えたい世界を、ことば

により建築のごとく組み立てていくイメージだ。


今夏、依頼を受けた卒業論文も、やはり章立てがなされて

いなかったのだが、構成を決め、内容を練り直したら、

見違えるような論文になってきた。


その結果、昨日、ゼミの先生から「すごく良いと思う」と

のコメントをもらったと、弾むような報告があった。


何より、専攻がクリエイティブな分野なので、その方自身、

手ごたえを感じているようだ。

最初は、私の提案に賛成するだけのことが多かったのに、

最近は、ためらいがちながら、自分自身の意見を述べる

ようになってきたのは、大きな変化である。


論文を書く、研究をおこなう、と聞くと、何か堅苦しく

聞こえるのかもしれないが、そんなことは決してない!


決まり切った答えなどない場所で、たったひとつの

オリジナルなテーマを掲げ、知のたのしみをきわめよう。

そして、単に審査をパスするのでなく、最上の評価を

獲得するのだ。



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