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他者であり、コンパニオンであり・・・

先週の日曜日、動物病院へ事務所の猫を連れ、月1回の検診に

行ってきた。

一番の目的は、“逆さまつ毛”をカットしてもらうこと。

セットで、爪切りと耳掃除、体重測定も済ます。

最初2.4キログラムだった体重は、すでに、3.35キログラム。 やせ細っていた子猫は、見違えるような堂々たる体格の若猫に 成長した――


元々動物を飼いたいなどとは、考えもしなかったのに、えさを

あげているうち帰らなくなってしまったという、まさに行きがかり

上の縁。


猫は、むしろ距離感のある存在だった。

勝手なイメージで、孤独を好むマイペースな性格と信じ込んでいた

が、この猫に関してはまったく当たらず、むしろかまってあげない

とすねて大変なことになる。


しかし、さすがに保護したばかりのときは、新しい環境に緊張して

いたのか、1日中寝てばかりいた。

本当に、えさを食べるときにだけ起きてくるので、去年の今ごろ、

外国に投稿する論文を書いていた私は、手間がかからず助かった

くらいに感じていたものだ。


だが、慣れてくるにしたがい、甘えぶりを発揮し、作業に長時間

集中していると、ジャンプして背後から飛び乗ってくるまでに。

それでも、爪は出さないようにしているのが、いじらしく、つい

許してしまう。


最初のころ、興奮すると爪を立ててくる猫に、我慢ができず叱ると、

相手も全身の逆毛を立てて「シャー!!」と唸った。

野性的なある種の美しさを目の当たりにし、ほれぼれとしたが、

家猫生活が長くなるにつれ、そのような威嚇の姿勢はまったく

見せなくなってしまった。


「人新世(ひとしんせい)」やポストヒューマンについて考えるうち、

猫を、他者―たいせつな―として見ていることに気づく。

たしかに、人間からは教われないことを、学ばせてもらっている。

昨秋の末、強風が吹いた翌日、事務所に駆け込んできて、いつも 以上にニャーニャーと鳴き止まなかった猫。 まるで「寒かったよー」とうったえるように。

そのうち、私の膝に乗って丸くなり、寝息まで立てだしたのを、 保護してほしいサインと勝手に受け取ったが、それで正しかったのか 今でも自信がない。 暖かい家や食べ物と引き換えに、屋外を飛び回る自由を、奪って しまったのではないか?  保護するつもりで、閉じ込めているのではないか? と。 野良猫の平均寿命は5歳であるのに対し、飼い猫の寿命は15歳だという。 だが、それで飼い猫のほうが幸せだというのは、あくまでも人間の判断 に過ぎない。 これからも葛藤は止まないだろうが、猫にとって何が幸せなのか、 問い続けていこう。 ※一緒に生きていくという意味で「伴侶(はんりょ)」ということば を使おうとしたが、配偶者(夫や妻)の意味も強いので、  コンパニオンアニマルの「コンパニオン」を選んだ。

     去年の今ごろの写真。    運動を全然しなかったせいか    ふっくらしている(というか    まん丸?)。

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