日本語空間2 日前2 分人と「被(かぶ)らない」ということ人間の行動様式は、人間という種ならではの性質に基づく と言えるが、それ自体、仮のノルム(規範)であり、絶対 不変のものではない。 極言すれば「移ろう」ものなのであるから、その意味では、 型にとらわれすぎるべきではないだろう。...
日本語空間3月5日1 分雛(ひな)を流す昨日はちょうど雛祭りだったので、外国人学習者 と話していて、その話題になった。 先週くらいから街を歩いていると、ショーウィンドー などに雛壇(ひなだん)が飾ってあるのを何度も 目にしていた。 昔から残っている風習や祭りは、外国にも数多く...
日本語空間3月2日2 分坂道の途中でコロナ(covid-19)は、基本的に災禍以外の何もの でもないと思われているが、それがもたらした 「恩恵」もあるのではないか、と、発生直後から 3年余りを経た現在、感じられることがある。 そのひとつは、多くの人が首肯しうるだろう 以前の生活の見直しだ。...
日本語空間2月24日1 分デジャヴ散歩をしていて、小道などに古びた椅子が二つ 置いてあるのを、時々見かける。 日本だけでなく、カメラを片手に出かけた外国 でも、そのような光景に出会った。 誰かが腰をかけ憩うようすも、心なごむもの だが、椅子だけがぽつんとあるだけの佇まい に、より惹かれている自分がいる。...
日本語空間2月8日1 分『あまり行かない喫茶店で』前回の記事で書いた若者に人気の喫茶店に、 「純喫茶」なるものがある。 酒類を扱わず、コーヒーやソフトドリンク のみ提供する店を指す。 近代の日本で流行した「カフェー」には、 女給(ホステスに近い)がいて、接客を おこなっていた。 中には、女給目当ての客も少なくなかった...
日本語空間2月7日2 分忙中閑(ぼうちゅうかん)ありふしぎな連想… 動画のアルゴリズムで薦められた曲のタイトルが、大学院生 時代に、恩師と初めて会った喫茶店を思い出させた。 今、昭和的な「喫茶店」が、若者の間でブームだという。 レトロモダンなテイストが好まれ続ける日本にあって?...
日本語空間1月29日1 分春の気配「冬来たりなば春遠からじ」のことば通り、冬で あっても、周囲をよく見ると春の気配は、そこここに うかがえる。 昨年末には、桜が蕾(つぼみ)をつけているのを 見かけたし、芳香が漂っているので元を探すと 水仙の花が群生しているのに出くわしたりする。...
日本語空間2022年12月18日1 分秘境(ひきょう)が招く生まれた時から住んでいる国は、慣れていてめずらしく ないせいか、いつか行けるだろうという気持ちがある からか、意外にあちこち出かけていない。 かえって外国人の方が、短期滞在であっても(あるから こそ?)日本の各地を旅行しているようで、そんな...
日本語空間2022年12月11日1 分ノンバーバルコミュニケーションコロナ発生後、対面での仕事がほぼなくなり、 事務所にいる時間が増えたことがきっかけで、 ちょうど事務所の裏庭で生まれた猫とよく 顔を合わすようになったのが、2年半前。 母猫がどこかへ消えてしまい、毎日えさを もらいにきていた猫が、帰りたがらなくなった...
日本語空間2022年11月30日1 分小春日和(こはるびより)慌ただしく過ごしているうち、11月も今日で 終わる。 月があらたまれば、季節も同時に変わるわけ ではないが、12月といえばやはり冬だ。 ただ、晩秋にしてはやけに暖かく、今日も 事務所の温度は20度を超えていた。 秋なのに、春のように穏やかな日を「小春日和」 と呼ぶ。...
日本語空間2022年11月25日2 分ことばの多義性あることばが、文脈により異なる意味になるのは、 どの国の言語にもありえることだろう。 最近、興味深く感じたのは、「カルチャー」という ことばの用い方だ。 ここでの場合、頭高でなく平板型で発音される。 カルチャーは、直訳すれば文化だが、組み合わされる...
日本語空間2022年9月24日2 分「新しい中世」今週、日本には台風が来ていて、毎日悪天候が続いた。 ただ、涼しくなり一昨日からエアコンを使わなくて済む ようになったため、しんと静まり返った部屋で昨日は 眠りに就こうとした。 しかし、聞こえてくる雨の音が、風流を通り越して 激しく、湿気も高いときて、寝苦しいまま朝を迎えた。...
日本語空間2022年9月11日2 分自空間を超えてもう秋になるというのに、夏から続いている宗教と政治の癒着 に関する問題が、終息する気配を見せない。 こんな折に、タイムリーというか「中世の争乱と肥大した信仰」 をテーマにしたチェコの映画が上映されていたので、近隣の ミニシアターに足を運んだ。...
日本語空間2022年8月14日2 分逆境における多幸感風立ちぬ、いざ生きめやも――! (訳)「風が立ち起こった。さあ、私たちは生きねばならない」。 ポール・ヴァレリーの詩『海辺の墓地』から、印象的なフレーズを 引用した小説『風立ちぬ』(1936-38)の著者・堀辰雄(ほりたつお)...
日本語空間2022年8月7日2 分ことば/実相大学院に在籍していたとき、ある科目の教員に勧められ、 DVDで『ヒロシマモナムール』(1959)を見た。 1958年、映画撮影で広島を訪れたフランスの女優が、 爆撃で家族を失った建築家の日本人男性と出会う。 被爆都市・広島や原爆資料館で目にした資料について、...
日本語空間2022年8月3日2 分夏の音コロナ発生以降、在宅期間が大幅に増えたこともあり、 身近な自然に親しむ機会が増えた。 こうしてブログを書いている間にも、ひっきりなしに 鳴く蝉の声が響いてくる。 旧事務所は、近隣に緑が生い茂っていたためか、 この辺りではめずらしいヒグラシ(蝉の一種)の...
日本語空間2022年7月23日1 分分断か多様性か前首相の葬儀を国葬にするという政府の決定に対し、国民や 野党から、反発の声が上がっている。 情報化社会に身を置くと、それ以前のことが、リアルに感じ られないほどだが、情報の渦に流されそうになっても、客観的 な判断力を持つよう努めたいものだ。...
日本語空間2022年7月17日2 分読書と「対話」梅雨に後戻りしたような雨の日が続いていたが、 今日は、一転して青空が広がった。 授業の前に、飲み物を買いに外出すると、 なぜか春にはあまり聞かなかったウグイスの声 が響いていた。 原稿の締め切りが目前に迫り、現在は、授業の 合間に、推敲を重ねている。...
日本語空間2022年7月14日2 分エンパシーの重み今日は、夕方から夜にかけ授業が続き、終わったのが 午後10時40分。 外国人学習者の方たちから、今回の元首相襲撃事件に ついて、あれこれ質問を受けたので、自分なりに思う ところを述べた。 先日のブログでは、「テロル」という表現をもちいたが、...
日本語空間2022年7月10日2 分転変、そして転変今日も寄稿の文章を書きながら、単に自分自身の「専門」 に閉じこもり、超越的な態度を取るわけにもいかないの ではないか? と焦りにも似た思いが胸をよぎった。 終息しないパンデミック、外国での戦争、国内でのテロ といった出来事を目の当たりにして――...