日本語空間5 日前2 分「見えるもの、その先に・・・」大学院に入る前は、美術作品の抽象表現に、特別惹かれる ことはなかった。 おそらくは無意識に、あらかじめカテゴライズされた形式 のなかで、硬直した捉え方をしていたせいと考えられる。 ちなみに、私の専攻は美術や芸術ではない。 だが、近代における科学史と芸術史の交わる地点には、...
日本語空間5月8日2 分「懐疑」する姿勢だいぶ前に、「出藍(しゅつらん)」というタイトルで、記事を 書いたことがある。 学生の優越を素直に認められる師は、彼(彼女)自身、すぐれた 人物であるという内容だったと記憶している。 たとえば、相手が誰であっても、自説を否定されたら、よほど修行...
日本語空間4月17日2 分「ガラスの天井」を突き破るには昨晩、授業をおこなっていて、すでに1年以上学んでいる 学習者の方(社会人)の会話が、確実に上達したのを感じた。 たとえば「悩ましい」などという語彙が、自然に口に上る ようになっている。 私が、常日頃いうところの「こなれた日本語」に近づいた ことが非常に喜ばしい。...
日本語空間4月1日3 分不可視の領域から先週は、日本各地で大学の卒業式がおこなわれており、 人数制限をしつつも、多くの学校が対面形式を用いて いるようすがうかがえた。 いくつかの動画を見たが、卒業生の一部がユニークな 仮装をこらす一方で、含蓄のある総長のことばが好対照...
日本語空間3月29日2 分遠心性心が晴れないときは、あえて目的を持たず、街に 出る。 港都とも称される当地は、東京(江戸)のごとく 都市計画により創成された「伝統都市」ではない。 それが歴史の偶然から、帝都に先だち開港された ことで(1859年の衝撃!)、近代のエネルギーを...
日本語空間3月26日2 分文章の力研究会に送る原稿の締め切りが、4月中旬に迫っているにも かかわらず、なかなか手がつけられないでいる。 元々、書き始めるまでの助走が長いほうで、可能な限り参考 文献に目を通し、全体の見取り図が決まったら書き出すのが 常なのだが、今回はどうにも重い腰が上がらない。...
日本語空間3月13日2 分過去から未来を照射する心穏やかでない日が続き、ブログの更新が遅れに遅れて しまった。 刻々と移り変わる世界情勢から目が離せないここ2週間ほど、 以前に読んだ本を再読し、何かしらの示唆を求めている。 先日の『空震』に続き、現在、再読しているのは、 『アフター・ヨーロッパ――ポピュリズムという妖怪に...
日本語空間3月9日2 分『空震』ふたたび3月に入り、気温が上がってきて、天気予報によれば日曜日 には20度にもなるようだ。 窓を開けると、どこからともなく花の香りが漂ってくる。 先日、寝不足で、事務所の椅子に座ったままウトウトして いたら、微かな振動が伝わってきて目が覚めた。...
日本語空間3月6日2 分みじかい青春の形見(かたみ)にこの季節になると、メディアが報じる卒業の風景に、 岐阜(ぎふ)県高山市の斐太(ひだ)高等学校で、 毎年おこなわれている「白線流し(はくせんながし)」 がある。 在校生と教員、親が対岸で見守るなか、卒業生の男子は 学帽の白線を、女子はセーラー服の白スカーフをはずし、...
日本語空間2月26日2 分言説か現実か昨日ニュースを見ていたら、国際情勢の解説者が、念を押すように 「いいですか。まず、いきなり具体的な状況を押さえるのでなく、 われわれは『言説』に警戒しなければならない、ということです」と ことばを区切りながら述べた。 つまり、ある国家の代表が「○○が○○を迫害している」、...
日本語空間2月11日2 分オリジナルにこだわり第一歩をしるす!昨夏、東京オリンピックにおいて、エクストリームスポーツと 呼ばれる分野で、日本人の活躍が目立つことに言及した。 現在おこなわれている北京オリンピックでも、昨日、平野歩夢 (ひらのあゆむ)選手が、スノーボードのハーフパイプで、みごと 金メダルを獲得した。...
日本語空間2月4日2 分マリア像の下(もと)で他のタスクに追われ、晩まで本を開けなかった日は、 何かすっきりせず、ささやかな抵抗というか? 寝る 直前のわずかな時間でも本に目を通す。 読まねばならない本は、常に控えているが、それと 別に、視野を広げたり教養を身につけたりするため...
日本語空間1月23日2 分ホモ・ファーベル(ものをつくる人)図書館でのセレンディピティ的出会い! 自分自身の専門でなく、学習者用の参考文献を探していて、 良書にたどり着くことがある。 経営学専攻の方の研究テーマを練る過程で、目当ての本を借りた 後、貸し出し冊数に余裕があったため、ふと手に取ったのが...
日本語空間1月21日3 分ある日の図書館で大学院に入ってから、学校の図書館以外で、地域の図書館を 平日訪れる機会があり、そこに人があふれていることに驚いた。 特に、社会科学関係の図書を置いてある4階には、定年退職者 とおぼしい高齢の男性がひしめいていて、独特な雰囲気に圧倒 された。...
日本語空間1月18日2 分大分岐(だいぶんき)数年前、K・ポメランツの『大分岐』という本が話題になった。 近代以前の西洋と東洋の文明的発展には、さほど差がなかったのを、 18世紀以降、両者がいわば明暗を分けたのはなぜか? と問う 内容である。 その後、“大分岐”が、本や論考の題名にしばしばもちいられる...
日本語空間1月16日3 分境界を越えて仕事の合間に、事務所の窓を通し、冬の太陽が射す庭を 眺めていると、パンデミックで世界が混乱していることが ふと夢のように思われる。 フェンスと芝生と、はえかけたわずかな雑草からなる世界 ―ひとのいない―は、しんと静まり返っている。...
日本語空間1月14日2 分精神的糧(せいしんてきかて)としてのリベラル・アーツ現前するコロナ以前にも、長い歴史のなかで、人類は 種類の異なるあまたの試練に直面し、それを乗り越えて きた。 「現在」に縛られ、身動きが取れなくならないよう、 そこからの脱出を図るためにも、当該の「叡智(えいち)」 に学ぶことは肝要だ。...
日本語空間1月9日2 分雪の食べ物今週の木曜日、この冬初めての雪が降った。 風を伴い、終日降り続けたが、翌日には太陽が顔を見せ、 積もった雪はあっけなく消えてしまった―― コロナ発生以降、空気が澄み、見上げる空も、雲が目に しみるほど鮮やかに美しい。 近隣で、野生のたぬきやハクビシンを見かけたのも、...
日本語空間2021年12月28日2 分「能動的出来事」へ「今年は、○○さんにとってどんな年でしたか?」 年内の授業も、今週で終わるので、最後に学習者の方たちに 質問をしてみた。 ある人は、こんな質問を受けること自体考えていなかったのか、 すこし戸惑いつつ、 「そうですね、良くも悪くもない年だったと思います」、 また、別な人は、...