日本語空間5 日前2 分分別力と創造力気がつけば9月も今日で終わり。 2、3日前まで聞こえていた蝉の声もパタリと止んだ。 ノーベル賞発表の時期が迫るこの季節、日本人では4人目 のノーベル賞受賞者である尾崎玲於奈(おざきれおな) 氏のインタビューを興味深く読んだ。...
日本語空間9月25日2 分何をなすべきか先日、恩師が主催する研究会の会報が送られてきた。 心当たりがなかったので問い合わせをしたが、過去に 発表をした人全員に、送られるものだとのことだった。 その前の号は送りそびれたらしく、時間が空いて届いた 新しい会報を、ありがたく拝読した。...
日本語空間8月14日2 分夏祭りの後で事務所の近くに小さな商店街があり、コロナが 発生する前には、それなりに繁盛していたのだが、 コロナ発生後一つ、また一つと個人経営の店は 閉じられていった。 そうして、アーケードも取り外されていき、 気がつけば「シャッター街」と化してしまった のである。...
日本語空間8月12日2 分ゲニウス・ロキ「私はまたゲニウス・ロキを呼び覚まそうとしている のかと思いました」。 忘れもしない、博士論文の口頭試問の際に副査から かけられたことばである。 もともと旺盛な読書を思わせる豊かな語彙の持ち主で あったその先生は、授業料減免や学振の申請等で...
日本語空間8月7日2 分共振前回のブログで、自身は飲めもしない酒の比喩を 用いたが、「美酒」といえば連想するのは、 漢文で習った「涼州詞」だ。 実際に、戦争(この時代は「いくさ」と呼んだ 方がぴったりする)は悲惨なものだが、極限状態 に臨んだとき、ある者は動揺もしなくなり、...
日本語空間7月31日2 分イケイケドンドン?物事には長短があり、良い面をばかり享受するわけには いかないが、大きな潮流に批判意識ゼロで乗っかるのも 考えものだ。 デジタルなしに生活をすることは、すでに考えられない というものの、だいぶ前から弊害が目立つ。 それに対し、すぐに行動を起こすのでなくとも、問題...
日本語空間7月16日1 分結実の時まで個人が経験することの中で、本当に無駄なことは 一つもないと思う。 すぐに結果が出なかったり、身につけたことが 役に立たなかったりすると、人は努力が無駄だった、 意味がなかったと落胆する。 しかし、すぐにかたちとして現れるものがある...
日本語空間7月15日2 分有機的なるもの平安時代、清少納言は『枕草子』の中で「〇〇なるもの」と して、自身が感じた有形無形の事物、事象を列挙している。 あくまでも主観だが、論文ではなく随筆なので、その偏りも 個性として読め、興味深い。 たとえば彼女は、「あてなるもの(上品なもの)」として、...
日本語空間7月9日1 分原風景とホスピタリティコロナがようやく収束し、外国人観光客が一気に戻ってきているが、 一般的な「観光」ではない異文化を体験しようとする人々もいる。 その一つが、四国の霊場を巡る「お遍路(おへんろ)」の体験だ。 国籍、年齢、性別を問わず、さまざまな人が訪れているようだが、...
日本語空間7月8日1 分ルビコン川を渡る?今では当然のように受容されているシステムの中にも、 登場当時は、賛否両論を生んだものがあった。 最初は警戒心を抱いたとしても、利便性が優先される うち、それなしではいられなくなる。 ChatGPTが注目を集めるこの日頃、東京大学の副学長...
日本語空間6月30日2 分ことばの身体性どのような人間も、生まれ育った環境とは 無縁ではない。 なぜこのようなことを書いたかというと、 現在、大学や大学院の教員に完全な デジタル世代がほぼ存在しないということ を、よく考えるからだ。 単純に、アナログが時代遅れでデジタルが すべてにおいて優れているなどとはいえず、...
日本語空間6月25日2 分「TKG」悠久の歴史を遡れば、強大な帝国の周縁から 出発した名もない列島であった日本は、 文明の器である漢字を、自分たち流に作り 変え、ひらがな、カタカナを生み出していった。 そうして、元々あった漢字を排除せず、 三つのことばを並存させながら、日本語 を使い続けてきたのである。...
日本語空間6月4日1 分開化へ一昨日荒れ狂っていた天気は、昨日には何事もなかった かのように晴れ渡った。 毎年この季節におこなわれる開港祭は、梅雨のはじまり に当たるため、せっかくの打ち上げ花火も残念ながら 中止になることが多い。 今年も例にもれず、そうなってしまったが、歴史的な事実...
日本語空間4月21日2 分「自然」から教えられる気がつけば4月も下旬になっている。 桜はとうに散ってしまったが、今はつつじが満開で、 昨日はジャスミンが咲き始めたのを見た。 どれもよその家の庭に咲く花々ながら、散歩の 途上、四季を通じ、目を楽しませてもらっている。 一つ気がかりなのは、今年はまだウグイスの鳴き声...
日本語空間4月13日1 分知的ダイナミズムあればこそ創造的な営みには「よろこび」が伴う。 私自身が学術論文と向き合うのも、単に文章を書く のでなく、そこにあたらしい世界を出現させるべく、 創造的な取り組みをおこないうるからである。 まるで哲学の問答めくが、己が、知的ダイナミズム を招き寄せているのか? 己以前、歴史的に堆積...
日本語空間3月5日1 分雛(ひな)を流す昨日はちょうど雛祭りだったので、外国人学習者 と話していて、その話題になった。 先週くらいから街を歩いていると、ショーウィンドー などに雛壇(ひなだん)が飾ってあるのを何度も 目にしていた。 昔から残っている風習や祭りは、外国にも数多く...
日本語空間2月8日1 分『あまり行かない喫茶店で』前回の記事で書いた若者に人気の喫茶店に、 「純喫茶」なるものがある。 酒類を扱わず、コーヒーやソフトドリンク のみ提供する店を指す。 近代の日本で流行した「カフェー」には、 女給(ホステスに近い)がいて、接客を おこなっていた。 中には、女給目当ての客も少なくなかった...
日本語空間2022年11月25日2 分ことばの多義性あることばが、文脈により異なる意味になるのは、 どの国の言語にもありえることだろう。 最近、興味深く感じたのは、「カルチャー」という ことばの用い方だ。 ここでの場合、頭高でなく平板型で発音される。 カルチャーは、直訳すれば文化だが、組み合わされる...
日本語空間2022年10月31日1 分濃密な時間秋といえば受験シーズン。 ここのところ、徐々に依頼が増えてきた。 同じ学習内容は二つとなく、目まぐるしい 日々ではあるが、気力、体力ともに充実して 仕事に当たれることを感謝している。 1年のうち、閑散期には、どのような依頼が きても対応できるよう、勉強を欠かさない。...
日本語空間2022年9月28日2 分世相(せそう)昨日、図書館へ行き本を読んでいると、図書館員 が早足で通路を行ったり来たりしていた。 返却された本を書棚に戻したり、本を整理したり するのは、普段からめずらしくないことだが、 あまりに頻繁過ぎて妙な雰囲気なのである。 来館者を見てないようで見ていることもあり、...