日本語空間3月5日1 分雛(ひな)を流す昨日はちょうど雛祭りだったので、外国人学習者 と話していて、その話題になった。 先週くらいから街を歩いていると、ショーウィンドー などに雛壇(ひなだん)が飾ってあるのを何度も 目にしていた。 昔から残っている風習や祭りは、外国にも数多く...
日本語空間2月8日1 分『あまり行かない喫茶店で』前回の記事で書いた若者に人気の喫茶店に、 「純喫茶」なるものがある。 酒類を扱わず、コーヒーやソフトドリンク のみ提供する店を指す。 近代の日本で流行した「カフェー」には、 女給(ホステスに近い)がいて、接客を おこなっていた。 中には、女給目当ての客も少なくなかった...
日本語空間2022年11月25日2 分ことばの多義性あることばが、文脈により異なる意味になるのは、 どの国の言語にもありえることだろう。 最近、興味深く感じたのは、「カルチャー」という ことばの用い方だ。 ここでの場合、頭高でなく平板型で発音される。 カルチャーは、直訳すれば文化だが、組み合わされる...
日本語空間2022年10月31日1 分濃密な時間秋といえば受験シーズン。 ここのところ、徐々に依頼が増えてきた。 同じ学習内容は二つとなく、目まぐるしい 日々ではあるが、気力、体力ともに充実して 仕事に当たれることを感謝している。 1年のうち、閑散期には、どのような依頼が きても対応できるよう、勉強を欠かさない。...
日本語空間2022年9月28日2 分世相(せそう)昨日、図書館へ行き本を読んでいると、図書館員 が早足で通路を行ったり来たりしていた。 返却された本を書棚に戻したり、本を整理したり するのは、普段からめずらしくないことだが、 あまりに頻繁過ぎて妙な雰囲気なのである。 来館者を見てないようで見ていることもあり、...
日本語空間2022年9月24日2 分「新しい中世」今週、日本には台風が来ていて、毎日悪天候が続いた。 ただ、涼しくなり一昨日からエアコンを使わなくて済む ようになったため、しんと静まり返った部屋で昨日は 眠りに就こうとした。 しかし、聞こえてくる雨の音が、風流を通り越して 激しく、湿気も高いときて、寝苦しいまま朝を迎えた。...
日本語空間2022年9月11日2 分自空間を超えてもう秋になるというのに、夏から続いている宗教と政治の癒着 に関する問題が、終息する気配を見せない。 こんな折に、タイムリーというか「中世の争乱と肥大した信仰」 をテーマにしたチェコの映画が上映されていたので、近隣の ミニシアターに足を運んだ。...
日本語空間2022年8月25日1 分あたらしさは常態に先々週から先週にかけて、学習者のうち 2人がコロナに感染した。 だが、2人とも、完全に治りきらないうち に、いつも通り授業を受けるというので 少々驚かされた。 無理をしない方がよいのでは、と伝えた のだが、結局、休みたくないという意思を 尊重することにした。...
日本語空間2022年8月14日2 分逆境における多幸感風立ちぬ、いざ生きめやも――! (訳)「風が立ち起こった。さあ、私たちは生きねばならない」。 ポール・ヴァレリーの詩『海辺の墓地』から、印象的なフレーズを 引用した小説『風立ちぬ』(1936-38)の著者・堀辰雄(ほりたつお)...
日本語空間2022年8月10日2 分論文はあたらしくなければならない文系、理系を問わず、21世紀の今日において研究を おこなう身は、ただ自身の領域に閉じこもり、個別 の研究のみに没頭すればいいというものではない。 グローバル化以降、連関する世界情勢は、転変の 速度を増したが、アフターコロナの状況にあり、歴史...
日本語空間2022年8月7日2 分ことば/実相大学院に在籍していたとき、ある科目の教員に勧められ、 DVDで『ヒロシマモナムール』(1959)を見た。 1958年、映画撮影で広島を訪れたフランスの女優が、 爆撃で家族を失った建築家の日本人男性と出会う。 被爆都市・広島や原爆資料館で目にした資料について、...
日本語空間2022年6月26日2 分「ハッシュタグ型」人間先日から、6月とは思えない異常な暑さで、気温は 一気に35度まで上がった。 午前中から、遊んでくれとまとわりつく事務所の猫も、 ここ数日は寝てばかりいる。 とはいえ、猫のルーツは、アフリカなどの暑い地域で あるため、気絶したように熟睡しているところへ、...
日本語空間2022年6月25日2 分職人・手仕事・ものづくり中華街を抜けて少し行くと、海まで5分足らずの 場所に、アストン・マーティンのショールームが ある。 たいして自動車にくわしいわけではないが、 非日常的な光あふれる空間にひかれ、しばし立ち 止まる。 中に入る勇気は、まだないのだけれど・・・...
日本語空間2022年6月19日2 分文化はかたちを変え継承される1か月のうち、複数回足を運ぶ場所といえば、やはり 図書館です。 ここ2年ほどは、コロナの影響から、母校の図書館には 足が遠のいており、もっぱら市立図書館を利用しています。 現在は、県立図書館が改装中で使用できないため、物足り...
日本語空間2022年6月5日1 分「自由」になるため学ぶなぜ学ぶのか? と問われれば、やはり「自由」になる ためと答えるだろう。 森羅万象(しんらばんしょう)を、理解するのは叶わず とも、知らなくてよいことが存在するとは思えない。 むしろより多くを見知り、学ぶ姿勢が、自分自身を解放 していくのだ。...
日本語空間2022年6月3日2 分港町の夜明け昨日、一昨日と、当地では「開港祭」が開催されていた。 今を遡ること163年、すなわち日本が未だ江戸時代にあった 1859年、歴史の偶然から、江戸(東京)に先立ち海外に戸を 開いたここ港町は、急速な発展を遂げることとなる。...
日本語空間2022年5月14日2 分「見えるもの、その先に・・・」大学院に入る前は、美術作品の抽象表現に、特別惹かれる ことはなかった。 おそらくは無意識に、あらかじめカテゴライズされた形式 のなかで、硬直した捉え方をしていたせいと考えられる。 ちなみに、私の専攻は美術や芸術ではない。 だが、近代における科学史と芸術史の交わる地点には、...
日本語空間2022年5月8日2 分「懐疑」する姿勢だいぶ前に、「出藍(しゅつらん)」というタイトルで、記事を 書いたことがある。 学生の優越を素直に認められる師は、彼(彼女)自身、すぐれた 人物であるという内容だったと記憶している。 たとえば、相手が誰であっても、自説を否定されたら、よほど修行...
日本語空間2022年4月17日2 分「ガラスの天井」を突き破るには昨晩、授業をおこなっていて、すでに1年以上学んでいる 学習者の方(社会人)の会話が、確実に上達したのを感じた。 たとえば「悩ましい」などという語彙が、自然に口に上る ようになっている。 私が、常日頃いうところの「こなれた日本語」に近づいた ことが非常に喜ばしい。...
日本語空間2022年4月1日3 分不可視の領域から先週は、日本各地で大学の卒業式がおこなわれており、 人数制限をしつつも、多くの学校が対面形式を用いて いるようすがうかがえた。 いくつかの動画を見たが、卒業生の一部がユニークな 仮装をこらす一方で、含蓄のある総長のことばが好対照...